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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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40 サスパニア出張旅行 その3_09

   *         *


「では、ハルコン殿。女神様は、今度のサスパニア出張旅行に、我が娘のシルファー、コリンドの姫君ステラ殿下、シルウィット家のミラ嬢の3名を同伴させるよう申し付けられた、……ということですかな?」


「はい。仰るとおりです、陛下。私としましても、初めていく外国に殿下をお連れすることを大変憂慮しているのですが、……。でも、女神様のご提案に背くワケにもいかず、どうしていいか悩んでいるところです!」


「ふむ、……」


 ラスキン国王陛下は、こちらの言葉をお聞きになると、顎髭を弄りながら、しばしの間考えを巡らせておられた。

 すると、宰相が傍らから聞いた本人にだけワカるような小声で何事かお伝えすると、陛下も納得されたように、ひとつ頷かれていらっしゃった。


 さて、……と。一体お二人は、どんなことを話し合われていらっしゃるのか。

 まぁ、私としても女神様のご提案は、いささか突飛だなぁと思っているしね、……。


 いくら何でも、私やシルファー殿下、ステラ殿下、ミラと親睦を兼ねた海外旅行だなんて、……いささか無謀だとみていいよね。

 ましてや今回向かう先は、まだファイルド国の王宮が全容を正確に把握し切れていないサスパニアだよ。そんなの、本来ならムリな話だよ。


 だから、たとえ女神様があぁ仰ってもさ。

 シルファー殿下の親であるラスキン国王陛下が、「安全を考慮して今回は止しておこう!」と仰れば、私としては当然その指示に従おうと思っているんだ。


「では、ハルコン殿。今回の件、多少問題はありますが、……娘達をサスパニアまで連れていってくれませんかね?」


「えっ!?」


 まさかのお返事。だって、政情のはっきりしない未知の国サスパニアに、大切な我が子を送り出してもいいって仰るワケだしね。


「陛下、ホンとにそのご決断でよろしいのでしょうか? 私には、とても無謀なことに思われるのですが、……」


「いや、ハルコン殿が一緒なら、全く問題ありませんぞ! 今回の派遣について、我々ファイルド国には益しかありませんからな!」


 そう仰りながら、陛下は宰相と共に笑顔でこちらを見つめてこられた。


「と、仰いますと?」


「あぁ、私が代わってお伝えいたしましょう。ハルコン殿、よろしいですかな?」


 すると、陛下に代わって宰相が、今回の件の計画について説明された。その内容をかいつまんで上げてみると、大体こんな感じだ。


 先ず、今回のサスパニア出張旅行は、ファイルド国にとって極めて重要な作戦であること。

 ファイルド国はサスパニア国と如何なる軍事同盟も結ばないが、「善隣外交」を推し進める意味で、代表に王族のシルファー殿下を派遣して、ファイルド国の意志を強調する。


 そして、その首班をラスキン国王陛下の名代として、シルファー殿下が務める。

 

 途中、経由地である隣国コリンドに立ち寄り、両国の友好状態が続いていることを内外に示す。

 その際、ステラ殿下を一度里帰りさせる。コリンドの宮殿の意思次第では、ステラ殿下をそのままサスパニアまで同伴させる。

 

 サスパニアに到着後、現地で情報収集。出張旅行からの帰国後、情報の精査を経て、今後の外交政策に反映させる。


「なるほど。そのためのシルファー殿下の派遣ですか?」


「そうなりますな。もちろん、シルファー、ステラ両殿下の身の安全の保障を、最優先にして頂けますかな?」


「えぇ、もちろんです、宰相閣下!」


「ハルコン殿、ミラ嬢には我が娘とステラ殿下の護衛もあるのだが、……。とにかく、2人は普段仲がいいのだが、たまには喧嘩をすることもあるだろう。その際、間に入って貰えるとありがたいな!」


 陛下のお言葉に、「なるほど。ミラには2人の宥め役を務めさせるおつもりか、……」と、ハルコンは思った。


「了解いたしました、陛下!」


 そう言って、こちらからニッコリと笑うと、陛下と宰相もニッコリと微笑まれた。

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