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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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40 サスパニア出張旅行 その3_05

   *         *


「ハルコン殿、……こちらに記された言葉は、日本語? なのかね?」


 王ラスキンの言葉に、私は思わず正気に戻った。


 まさか、日本語とは、……。

 やはり、女神様の仰られたとおり、イッシャラーさん達は、日本の旧軍の情報将校で間違いないのだと、よぉ~くワカった。


「はい、陛下。こちらの書簡は、仰るとおり日本語で記されておりますね」


「そ、そうか。やはり彼らもまた、『異世界転移者』とみて間違いないのだな?」


「はい。仰るとおりです!」


「「!?」」


 こちらの言葉に反応して、王ラスキンと宰相は2人だけで小声で何事かやり取りされると、改めてこちらをじっと見てこられた。


「して、ハルコン殿。なんて書かれておるのだろうか?」


「そうですね。時候の挨拶の後、サスパニアの初夏の魅力、首都エッドに導入された公共インフラ(もちろん、現地語で表現しています)の先進性について、その詳細が記されておりますね!」


「そ、そうか、……。我が王都よりも、それは優れているのだろうか?」


「そこは、現地に入ってみないことには、私にはワカりかねます」


「まぁ、……ハルコン殿の仰るとおりであるな」


 陛下はこちらの考えに同調して、宰相共々大きく頷かれていらっしゃった。


「次にですね、……イッシャラーさんの日本名と共に、日本での略歴が記されております。石原寛斎いしはら・かんさい陸軍中佐が首班で、その部下12名も連名で役職と共に記されております」


「……、なるほど。ハルコン殿と同じ時代から、イッシャラー達は転移しているのかね?」


「いいえ。私にとっては祖父の世代、大体80年ほど前の時代の人達ですね!」


「ふむ、……」


 こちらの言葉をお聞きになった陛下と宰相は、再び2人だけで何事か話し合いを始められた。


 私としては、その間黙って話し合いが終わるのを待たざるを得ず、長文の書簡の全容をなかなか伝えられないことに、気を揉まされてしまった。


「へ、陛下、……恐れ入りますが、先ずは全文を翻訳した後で、お話なされた方がよろしいかと存じます!」


「おぉっ、そうであるな。ハルコン殿、やきもきさせてしまい、誠に申しワケない! それでは、話を続けて下さるかな?」


「承知いたしました」


 その後は、弱小国サスパニアの中興の祖となった、イッシャラーこと石原寛斎首相の業績の紹介が続く。


 その業績の数々は、私の持つ現代日本の常識からすると、誠に隔世の感を禁じ得なかったのだが、……。

 でも、国王陛下と宰相の心の琴線には触れたようで、……。


 私の目から見て、度々お二人は腕組みをされたまま、何事か感極まったご様子で、……。時おりお二人が深く頷かれていらっしゃるのが、とても強く印象に残った。

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