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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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39 サスパニア出張旅行 その2_07

   *         *


「……、ということなのよ、晴子さん」


「なるほど」


 先ほどより、女神様からサスパニアの事情についてお聞きしていたのだが、……。

 どうやらこちらの予想したとおり、サスパニアの首相を務めるイッシャラーさんらは、元日本人とのことだった。


 聞いた話では、先の大戦が終わった際、イッシャラーさん達の小隊12名が集団自決しようとしたのを、見るに見かねて緊急措置で転移させたのが真相らしい。


 女神様は、数多くある異世界の中で、私のいるこのファルコニアの世界に彼らを異世界転移させたのだけど、……。

 その理由を訊ねたら、「そのウチ、お伝えしますね」と微笑まれて、あえて仰ることはなかったんだ。


 そういえばさ、女神様は以前天界でお会いした際、これまでに異世界転移、もしくは転生させた人達の選考基準について、こう仰っていたんだ。


『あなたがお亡くなりになって、たくさんの人が泣いていましたよ。あなたの人生には、とても意味があった。それはご家族や身の回りの人達だけでなく、全人類にとって、とても掛け替えのないことであったと言えるでしょう』とね。


「……、あの子達はね、先の大戦下では作戦立案などをしていたのだけど、まぁ、……いわゆる天才肌の将校さん達でね、常に周りとの軋轢が絶えなかったのね」


 まぁ、確かに。女神様の選考基準は、今も昔も変わらない。とにかく、天才(報われない人)が好きなのだろうなぁとハルコンは思った。


 でも、天才肌の人って、周りからどうしても浮いちゃうからなぁ。その辺はどうされているんだろう?


「ねぇ晴子さん、……あなたって、周囲の凡人とのコミュニケーションを大事にする珍しいタイプなのですよね?」


「え、えぇ、……」


 ハルコンは周りの人間を見て、「その人が凡人だ」などと思ったことはこれっぽっちもなかった。

 だが、女神様の話の腰を折るワケにもいかず、とりあえずひとつ頷くだけに止めた。


「……、でもね、あの人達は自説を曲げたり、妥協したりとかできないタイプの子ばかりでしてね、……」


「……はぁ」


 女神様の後からのお話によると、私はどうやらコミュ力重視の天才なのだそうだ。

 いわゆるアイデアのひらめきを重視する一点突破型というよりも、多情報を同時に並列処理させて最適解を得るタイプだと、……そう仰るんだよね。


 実際、こと日本においては、明治時代から令和まで続く明治朝の時代に入ってもなお、ひらめき重視のタイプは嫌われ易い傾向にあると思う。


 どちらかといえば、マルチタスクが得意で、多くの意見を同時に取り入れながら最適解にまで調整していく、……そんな並列処理タイプの方が好まれるのも事実なのだろう。


 私も周囲からの評価によれば、そんな並列処理タイプの人間で、……。

 今思うと、周りから私はとかく重宝がられていたような気がするなぁと、ハルコンは漸く腑に落ちたのだった。

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