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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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39 サスパニア出張旅行 その2_05

   *         *


 ハルコンはゆっくりと振り返って、微笑まれる女神様に渾身の笑顔を向けた。

 

 以前、女神様とお会いしたのが7歳の時だったから、……。

 ホンと、お久しぶりの再会だなぁと、ハルコンは懐かしく思った。


「相変わらず、お変わりなく。女神様はお元気でいらっしゃいましたか?」


 ハルコンの目と鼻の先にいらっしゃる女神様は、まるで数日前にお会いした時のように、全くお変わりがない。

 その永遠の美を体現されたようなお姿に、ハルコンは思わず背筋がゾクリとした。


「ふふっ、私はいっつも元気ですよ。晴子さんは、日々充実してお過ごしのようですね」


 ニコリと微笑みつつ、ハルコンの両肩を優しく撫でられる女神様。

 そのご様子は、あたかもかわいい孫を慈しむ、祖母のような雰囲気を湛えていた。


「はい、私ももう11歳です。王立研究所の所長を任されまして、……。周りから支えられながらですが、何とか役職を全うしているところです」


 ハルコンとしては、自分が今、仕事にも人生にも充実しているところをアピールしたつもりだった。

 でも、女神様は笑顔を保ちつつも、どこか悩みを抱えたような表情で、こちらを見てこられたのだ。


「晴子さん、……最近、ちゃんと眠れてますか?」


「えっ!?」


 さすがは女神様だ。全てお見通しらしい。

 ここ最近、ハルコンは喫緊の仕事を回すことを優先していたため、学生寮に戻って、自室のベッドで眠ることも稀だったのだ。


「目の下に、……クマでもできてましたかね?」


 躊躇いがちに、こちらがそう訊ね返したところ、女神様は一瞬きょとんとした表情を浮かべられた。


「いいえぇ。晴子さんは、そんな人に弱みを見せるような真似は、されないのでしょ?」


「まぁ、……そうですね」


「どうせ、晴子さんのことです。ハルコンB(エリクサータイプBのこと。栄養剤としての効能だと、これさえ飲めば、1日48時間闘うことが可能となる万能薬です!)を飲みながら、ルーティンの仕事をこなされていらっしゃるのではありませんか?」


「……、はい」


 図星だった。さすがは女神様。全く隠し事ができないなぁとハルコンは思った。


「ねぇ、……。私はね、晴子さんがこのファルコニアの世界にくる時に、こう申しました。何をやっても、よろしいのですよ。だって、あなたの人生なのですから、……とね」


「……、えぇ。そうでした」


「ですが、何もこの世界にきてまで、ハルコン・セイントークになってからも、全く聖徳晴子と変わらない生活をお送りになられるのですね、あなたは?」


「はい、……。面目ないです」


 そう言って、こちらとしても申しワケないと思ったため、素直にぺこりと頭を下げた。


「もうっ! いつも見ていてハラハラさせられてしまうんですからねっ!」


 ちらりと覗き見ると、女神様は笑顔を浮かべつつも、どこかお怒りの雰囲気も漂わせていらした。


 このままだと、女神様から何らかのペナルティ、もしくは行動制限でもされてしまいかねないかも、……と、少々不安な気持ちになるハルコンだった。

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