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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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07 迫りくる危機_02

   *         *


 今回、セイントーク邸に訪れている、一級鍛冶士のドワーフの親方。実は、彼もまたハルコンの関わるNPCのウチの一人だ。


 はぁ~っ。このセイントーク領に、やっときてくれたよ。

 ハルコンは、親方を口説き落とすのに結構苦心したことを、今更ながらに思い出す。


 この親方は、王都でも引く手数多の人気の鍛冶士だ。鉄製の鎧や刀剣といった武具だけでなく、フライパンや包丁、鍋薬缶、カトラリーグッズまで、調理道具もお手の物。

 一方で、グラスやコップといったガラス加工から、彫金、木工大工まで何でもこなす。


 要は、手を使って作る製品は、何でもできるオールラウンダーだということ。

 ハルコンは、一日数時間は親方の思念に同調して作業を見学していたため、大体の能力を把握していた。


 親方は、朝から晩まで仕事の依頼が途切れることがなく、ずっと働き詰め。ドワーフ故に気力体力十分で、粘り強く作業に従事しているのだ。


 元々モノ作りとか手作業に興味のあるハルコンは、一日中その作業を眺めていても、全く飽きることがない。


 前世の晴子も、ユーチューブで職人の作業を映すプログラムを好んで見ていたし、ましてや、一級のドワーフの手作業など興味の湧かないワケがない。


 その作業に惚れ込み、出来上がった製品に感服し、ぜひともセイントーク領に招き入れたい。そうハルコンは熱望していた。


 だから、再三に渡って、親方の頭の中に「天啓」を放り込んだのだが。

 でも、……相手はなかなかうんともすんとも言わない。全く以て頑固なオヤジだった。


 さて、……どうしようかな? 思い悩むハルコン。


 中年の一級剣士と女盗賊の方は、順調に進んでいる。2人ともセイントーク領に惚れ込んでくれて、当分の間は、このまま領に定着して仕事をしてくれそうだ。


 でもなぁ、……。そもそも、私もいろいろ口説かれる側だったし、口説く方法なんて、今更ワカらないよ。とほほほ、……。

 

 ハルコンは、親方に今にも根負けしそうになっていたが、ここで秘密兵器を用意した。


「秘密兵器だぁ~っ!?」


『はい』


「神の御使いだか何だか知れねぇが、ワシを納得させるもんじゃねぇと、この王都を離れるワケにはいかねぇぞ! それに、まだ依頼を受けた仕事が山ほどあるんじゃからなっ!!」


『では、触りだけでも見せましょうか? 技術者のあなたなら、きっと興味が湧くと思いますよ!』


「あぁっ!? 能書きはいいからっ! 早く見せなっ!!」


 どうやら、親方の好奇心が勝ったようで。

 ハルコンは、渾身のイメージ映像を、親方の頭の中に送信した。


 すると、親方は頭の中に放り込まれてきたイメージ動画を見て、……次の瞬間、


「うおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーっっっ!?」


 思わず絶叫した。


「何じゃっ、これはっ!? こんなもの、これまで思い付きもせなんだっ!!」


『へへへっ、凄いでしょぉーっ!』


「こうしちゃいられねぇ。さっそく拵えてやるっ!!」


 そう言って、親方は他の作業を残したまま、直ぐにその道具を作り始めていた。

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