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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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38 サスパニア出張旅行 その1_07

   *         *


「つまり、……ハルコン殿は、何者かが毒物をこの小さな容器に入れて渡り鳥を飛ばし、コリンドでばら撒いたとお考えであるのか?」


「えぇ。ほとんど、それに近いですね」


「それに近い、……とは?」


 一級剣士からそう訊ねられると、正直に自身の見解を伝えるべきだと強く思った。


「はい。先ほど容器に入っていた残留物を研究所で解析したところ、その中身は『フラワーインフルエンザ』であることが判明しました!」


 ハルコンは、ここで自らの見解を、平易な言葉で正直にメンバー全員に伝えようと思った。


 その考えによると、……容器に入った「フラワーインフルエンザ」に空気感染した渡り鳥の体内で、「鳥インフルエンザ」に先ず変異する。


 その後で、感染した鳥の本体及び糞などから放出された「鳥インフルエンザ」が、休憩地の湖水エリアなどで同じ鳥同士の間で広く伝播する。

 更に感染個体の増えた状態で、次は牛といった家畜などの哺乳類まで感染させる。


 最終的に、その突然変異した「鳥インフルエンザ」が、今度はヒトを襲い始める、……という仕組みだ。

 しかも、伝播するごとに「毒性」が増してくることも、加えてコメントした。


 すると、その見解を聞いたメンバー達は、仕組みの巧妙性に非常に驚いたようだ。


「なるほど、ハルコン殿。渡り鳥ゆえにその移動速度を考えると、季節を跨ぐことになるのだが、……その点はどうお考えであるのか?」


「はい。むしろ、その方が好都合でしょうね。だって、誰がばら撒いたのか、証拠を上げることが非常に困難になりますからね」


「なるほど、……」


「はい。それこそが、生物兵器の極めて悪質な仕組みなんですね!」


 その言葉を聞いて、質問した一級剣士だけでなく、女エルフや女占い師も苦い表情を浮かべた。

 こんな極めて巧妙で悪質な生物兵器攻撃という発想は、地球でさえ漸く近代に出てきたものなのだから、……。


 ここで、「私が質問してもよろしいでしょうか?」といって、大店の商人が手を上げた。


「つまり、ハルコン殿のお考えでは、先ず小さな容器に入った『フラワーインフルエンザ』では、ヒトには感染しないと。その渡り鳥の体内で一度変異させることで、鳥からヒトへと感染させる、……というワケですかな?」


「はい、仰るとおりです」


 大店の商人の問いかけに対しこちらが素直に頷くと、他のメンバー達も納得したようにうんうんと頷いた。


 すると、先ほどより容器が開閉する仕組みを調べていたドワーフの親方が、開口部をパカパカと開け閉めさせながらコメントを始めた。


「ワシは、この容器が何かのきっかけで開閉するギミックに、関心があるのぅ。まぁ、その中身が『インフルエンザ』というウイルス? それだけで、眩暈がしそうだわい!」


 そう言って、親方が怪訝な表情を浮かべると、メンバー達もそれに同調した。

                                                                                                                                                                            「で、ハルコン坊。これだけ緻密で壮大な仕組みを思いついたヤツが、仮にサスパニアにおるとして、……。これから現地にいってどうするのかのぅ?」


 その質問に、メンバー達も同じ考えに至ったのだろう。

 この席の誰もが強い関心を示した様子で、……。こちらの見解を聞こうと、じっと見てきた。

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