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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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38 サスパニア出張旅行 その1_05

   *         *


「ハルコン様っ! 私どもがサスパニアについて現在掴んでいる情報を、これからお伝えしたいと思います!」


 その女占い師の真剣な眼差しに、ハルコンを始めとするメンバー全員も、表情を引き締める。


「伺いましょう!」


 ハルコンはそう言って、彼女のことをじっと見た。


「はい、……実はサスパニアの一部勢力の中に、コリンドが武装解除したことで、新たに再軍備を進めている兆候があります!」


「「「「「「えっ!?」」」」」」


 突然の女占い師から出たこの発言に、席の参加メンバー全員が驚きの表情を浮かべて、彼女の顔をまじまじと見た。


 もしそれが事実であれば、こちらからサスパニアに向かう前に、極めて重要な情報を得たことになるんだよなぁと、ハルコンは思った。

 そして、そのサスパニアの情報について、王宮からは全くと言っていいほど何も聞かされていなかったんだよね。


 そもそもこの女占い師は、一見すると占いを生業としていそうな身なりだが、その本質は「情報屋」だ。

 彼女は広範囲にわたるネットワークの網にかかった膨大な情報を精査することで、確度の高い未来予知を可能にしているのだ。


 だから、女占い師の口から出てきた言葉の重要度は、どれも非常に高いんだよねぇと、ハルコンは思った。


 これまでの付き合いで女占い師の能力を十分理解しているメンバー達は、眉間に皺を寄せて、大真面目な顔で次の言葉を聞こうとした。


 まぁ、……以前の私なら、シルファー先輩の侍女セロンの頭の中にハッキングすることで、王宮の抱える重要機密に肉薄することができていたし、……。


 それに、女占い師の頭にも紐づけしていたからね。


 でも、私は王立研究所の所長を拝命して以降、自分は「公人」になったと思ったからさ。

 NPCの脳内にハッキングできるスキルを、若干の例外は除くとして、ほとんど封印することにしたんだ。

 

 だって、……そんな裏技をいつまでも使っていたら、それって卑怯だからね。

 

 だから、私は女占い師との接触も極力封印し、あくまでこの数年は仙薬エリクサーの開発だけに自身の能力を特化してきたんだ。

 

 だが、如何にファイルド国が善隣外交、エリクサー外交を推進したことで平和が進展したといえど、どうしても裏切り者や反動勢力という者達がどこの国にも現れるものだ。

 

 私は、コリンドが武装解除したここ数年、そんな雑事に心を乱されることなく過ごしてきたんだけど、……。

 でも、……もうそろそろ、そんな平和も脅かされつつあるんだなぁと、ハルコンは思った。

 

 今回、女盗賊がこの会合に呼んでくれたことで、再びハルコンは女占い師から重要機密を知らされることになった。

 

 やはり、どれだけこちらが世情を避けて研究に没頭していても、どうしても避けられないこともあるのだ。

 そう思ったら、ハルコンの口中は次第に苦みを増していった。

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