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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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318/443

37 研究所の長い一日_16

   *         *


「カルソン教授、どうやらウイルスの除去に成功できたようです。なので、我々もこの重苦しい防護服を脱ぐとしましょう!」


「了解です」


 ハルコンの言葉を聞き、その場のスタッフ達は互いに頷き合うと、それぞれ防護服を脱ぎ始めた。


「おぉっ、ホンとに子供だったのか!?」


 すると、隊商のリーダー格の男が、こちらを見て驚いた表情を浮かべている。


「えぇ、まぁ。それが普通の反応ですよね?」


 ハルコンもまた照れ笑いをして応じると、患者達は皆、ホッと安堵の表情を浮かべた。


 さて、……と。

 ハルコンは、当初の指示どおりにファルマに患者達全員に触れさせると、リモートで簡易的な診断を行った。


 そうすることで、ハルコンの頭の中には、MRIで検査したように、様々な角度からの人体の断面図のイメージで、その患者の全身をサーチすることができるのだ。

 しかも、体内成分の略式表記までされるので、とても心強いのだ。


 うん、パーフェクト! 

 ちゃんとハルコンAが効いていて、全身隈なく見たけど、病気の気配すらないねっ!


 思わずハルコンがニンマリと笑ったところ、毎度ながらカルソン教授も冷ややかに「ククッ」と笑った。


「おやぁ、カルソン教授。どうしましたか?」


「いいえぇ、所長が何をどうやったか、あれだけの診断を行ってしまうのに、仕草がまだまだ子供っぽいのがとてもおかしいものでして、……」


「そうですよぉ。私はまだ子供ですからねぇ」


「クッ、ククッ」


「プッ、アハハハ」


 そう言って、お互いに笑い合う。

 すると、先ほどまで特別隔離室の雰囲気はとても緊張していたにも拘らず、あっという間に穏やかに和み始めた。


「ハルコン所長、この度は大変感謝します。貴重なハルコンAまで使って頂き、言葉もありません!」


 隊商のリーダー格の男が胸元に手を当てて軽く会釈すると、他のメンバー11人も同様に頭を下げた。


 その際、「ありがてぇありがてぇ、……」とか「これで、サスパニアに帰ることができる!」とホッとした様子だ。仲間内で笑顔で話し合っているのを見て、ハルコンは今回の件も無事解決してよかったと思った。


 そんな感じでホッと胸を撫で下ろしていると、ファルマがススッと傍に寄ってきて、顔を近づけてくる。


「今回も、ちゃんと回収できましたか?」


 耳元にそう囁いてくるため、ハルコンはこくりと頷く。


「いつもありがとう、ファルマさん!」


「はいっ」


 ハルコンがニッコリと微笑むと、ファルマもまた上機嫌な様子で鼻歌を歌いながら、診断に使った器材を手際よく片付け始めた。

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