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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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316/443

37 研究所の長い一日_14

   *         *


 なるほどなぁ、……。

 私の異世界ファルコニアへのこの旅路は、あの時「フラワーインフルエンザ」に始まる一連の疑惑に端を発していたんだろうなぁ。


 結局、私の主任教授だった北園教授は、あの喧嘩のせいで懲戒解雇されてしまった。

 その後、北園さんのいなくなった研究室は後ろ盾を失い、様々な嫌がらせを受け続けることになるんだよね。


 そして極めつけは、「アイウィルメクチン」の開発報告の前日の晩、私は殺し屋に鈍器で後頭部を殴られて、生きたまま放火されてしまったんだ。


 私はあの時全てを失ってしまったと思ったけど、それは社会もまた同様に「未来」を失ってしまったってことなんだ。


 もしもの場合に備え、保険で「アイウィルメクチン」に不可欠な試薬の情報全てをシャットアウトする措置を行っていてさ。


 だから私がいなくなった際に、「アイウィルメクチン」の研究を第三者に奪われることなく、ちゃんと防ぐことができたんだ。


 女神様の話では、アイツらアルメリアの破落戸達が私達の研究を乗っ取ってもなお、未だに「アイウィルメクチン」の発現機序を解明できていないらしい。


 そして、……どうやら今のところ、地球上で本格的な鳥インフルエンザのパンデミックは起こっていない模様。


 今にして思えば、……あのアルメリアの破落戸達は、地球の人口が100億を目の前にして、非常に焦っていたのだと思う。


 あの悪魔どもは、人口削減を目的としたインフルエンザの強毒バージョンを用意していたが、その解毒薬となる万能薬「アイウィルメクチン」を入手できていないワケだ。


 だから、自分達すら感染しかねない生物兵器の散布計画は、とりあえずいったん保留のようだ。

 ふふっ、……ざまぁみろってんだ!


   *         *


「……、それではハルコン所長。当療養所で隔離されている感染患者達の許に、ご案内します!」


「はいっ!」


 ハルコンとカルソン教授は、王立療養所で完全防疫装備のつなぎに着替えた後、若い医官達の案内で、敷地の離れにある感染患者のいる建物に向かった。


 現在隔離されている者は、サスパニアの隊商達12名。

 皆いずれも体調に問題なく、ハルコンの指示に従って隔離されている状況だ。


 王立療養所の方で、患者達の体調に無理のない範囲で、既に事情聴取を行っていた。


 ハルコンはカルソン教授と共にそのレポートにざっと目を通した後、その12名の隔離患者達から現地で一体何が起こったのか、改めて事情を伺うことにした。

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