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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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309/444

37 研究所の長い一日_07

   *         *


 ハルコンとカルソン教授は、若い医官達に近隣にある王立療養所まで案内されると、先ずは検体検査室にて採取されたサンプルを確認することにした。


「こちらです、ハルコン所長!」


「はいっ! 拝見しますっ!」


 ハルコンはそう返事をして、食い入るように光学顕微鏡のレンズを覗き込む。

 前回のブリーフィングの際、ハルコンは今後発生し得るいくつかの感染症の検査キットを、予め配布していた。


 さすがに中世ヨーロッパ時代のような科学環境の下では、20世紀後半以降の地球のように、PCR検査で検出する方法は不可能だ。


 だから、ハルコンはとてもアナログ的手法なのだが、……これまでのフィールドワークで獲得してきた様々な土壌から新たに酵素を得て、それを試薬にすることを思い付く。


 そして、その試薬を前回のブリーフィングの際、関係各所に配布していたのだ。

 今回その予防的措置が、功を奏した形となっている。


「さて、……どれどれ」


 試薬で検出されたウイルスを、ハルコンはじっと見つめる。


「なるほど!」


 そして、……直ぐにビンゴだと思った。

 やはり危惧していたとおり、サスパニアの隊商達は、……鳥インフルエンザに感染していたようだ。


 前世の晴子の時代、……特にその研究がスタートした頃を境にして、地球上には突然降って湧いたように、様々なウイルスや感染症が蔓延し始めていた。


 そのいずれもが局地的に広まってはいたものの、各国政府が適切に検疫を実施することで、他国に流出することは辛うじて抑えることができていたと思う。


 そんなある日のことだ。

 前世の晴子が、国際会議にて自身の研究室の成果報告を行って、それから数日経過した頃に、珍しい客が研究室に訪れていた。


 突然、何の前触れもなく、……この国の感染症研究最前線の教授と、大国アルメリアのとある大富豪が、全くのアポなしで訪問してきたのだった。


「あの人達、……ウチの研究室に、一体何の用ですかね?」


 当時の晴子は、主任教授に率直に訊ねた。

 すると、教授は緊張した面持ちで、「とりあえず、……会って話だけでもしてみるとしようか」と語っていた。

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