36 王立学校祭 その3_14
* *
『それでは皆っさぁーん、本大会も盛り上がって参りましたぁーっ!!』
サークルメンバーの美声な女子マネージャーの声が響いた、……その次の瞬間っ!
「「「「「「「「「「ワアアアァァァーーッッ!」」」」」」」」」」
会場周辺一帯を包み込むように、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
「凄いね、ハルコン! 上兄様(キャスパー殿下のこと)に差し出したあの左手って、……一体、何の仕掛けなのぉーっ?」
「うぅ~ん。そうですねぇ、……」
歓声が冷めやらぬ中、シルファー先輩は声を振り絞って問いかけてきた。
だが、ハルコンは笑顔でこくりと頷くのみにとどめた。
だってさぁ、……何なら秘伝の「握手落し」は、このまま「奥の手」として封印しておこうと思ったからね。
すると、こちらの気持ちを察してくれたのか、傍らに立っていたミラが、先輩の背中をポンポンと軽く押した。
「シルファー先輩、……やっぱり、ハルコンのあの左手を差し出す構えって、……左手を掴んだ瞬間に発動するギミック、……なのかなぁと思うんですよね」
「ギミック?」
横から口を挟むミラに対し、シルファー先輩は素直そうに小首を傾げて訊ね返した。
「だって、ハルコンって、……存在そのものがトリックスターみたいなものですから!」
「あぁ、……確かに!」
ここで、ミラとシルファー先輩は意見が一致したのか、うんうんと相槌を打ち合っている。
うんうん。2人とも仲がよろしくて、とても結構だねぇとハルコンは思った。
うんっ? あれっ!?
先ほどまでいらっしゃったステラ殿下の姿が、どこにも見えないようだけど、……。
『……、それではぁ、引き続きましてっ!! 隣国コリンドから本校に留学中の麗しの姫君、ステラ殿下のご指導の下、我々女子サークルメンバー合同で、コリンドの「恋の舞踊」を行いまぁーすっ!』
「ではっ、皆さんっ! 参りましょうっ!!」
「「「「「「「「「「はいっ!!」」」」」」」」」」
突然のナレーションとともに、ステラ殿下の美声と複数の女子達の声々が響き渡る!
こちらが唖然としている間に、両サークル総勢20名近くの女子マネージャー達が、一斉に特設の壇上まで駆け上がってきたのだ。
「何あれっ!? ステラ殿下の半袖半ズボンの軽装服なのはいいとして、……」
「じゃぁ何で、皆さん揃いも揃ってケモ耳を頭に載せていらっしゃるのぉーっ!?」
壇上の袖に避けてきたミラとシルファー先輩は目を丸くして、突然現れたステラ殿下達に向けて叫んだ。
「「「「「「「「「「ワアアアァァァーーッッ!」」」」」」」」」」
だが、会場周辺一帯の盛大な拍手と歓声の中に、そんな2人の声はかき消されてゆく。
一方のステラ殿下は、恋のライバル2人に対し、得意そうにニコォッと微笑み返していらっしゃった。
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