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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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36 王立学校祭 その3_13

   *         *


 ハルコンにとって、セイントーク流合気術の本質とは、「戦わずして、強敵と友達になること」だった。


 相手を投げたり締め落しているウチは序の口で、こちらの技を何ら見せることなく問題を解決できることこそ、まさに理想と言えた。


 今回もまた、ハルコンは「不戦にして不敵」を実践してみせた。


 ふふっ、闘うばかりが能じゃないんだよ!

 そんな具合に不敵な笑みを浮かべるハルコンを、ミラを始め特設の壇上にいる者達全てが、笑顔で見つめる。まぁ、……若干引き気味なのはいたし方ない。


「キャスパー殿下ぁ、あぁいうのはご勘弁願いますよぉ~っ。セイントーク流合気術の本質は、『勝ち負け』ではないんです。殿下がお強いのは十分承知いたしましたので、……次は、更なる上を目指しましょう!」


「更なる上、……ハルコン、私にもお聞かせ願えるかな?」


「はいっ、『不敵にして、皆仲良く!』ですっ!」


 白い歯を見せてニシシと笑うハルコンに、キャスパー殿下はつられてパァーッと表情を明るくさせた。


 これはハルコンが人づてに聞いた話なのだが、……。どうやら、殿下はハルコンに対して多少不満を覚えていたらしい。


 普段の殿下は、まさに血気盛んな若武者だった。


「戦で武勲を得ることこそ、王族の誉れ!」


 そう、公言していたんだそうで、……。


 それがハルコンの働きにより、永らく懸念だった隣国との国交が回復してしまった。

 更には、父親である国王ラスキンより、「これからは、王族が身を以て外交と商売で国を盛り上げなさい!」と命じられてしまったのだ。


 当てが外れてしまって、さぞやご不満だったんだろうなぁ、とハルコンは推察する。


 そんなキャスパー殿下が久しぶりに帰国したところ、国内の雰囲気は戦時体制を完全に脱し、戦後復興を終えて、更なる発展を迎えつつある状況だった。


 そこに、父君、母君、妹君と共に、かつての敵国の姫君を交えて身内だけの晩餐会に参加された殿下は、姫君ステラ殿下の穏やかな美しさに、かなり当てられてしまったそうだ。


 妹のシルファー先輩が、こう仰ったそうだ。


「私とステラ殿下は、近い将来にハルコン・セイントークの許に輿入れする予定なのですよ!」


 嬉しそうにお話になる先輩を見て、殿下の内心は、如何ほどのものだったのだろう。


 今回、晴子の頃に教わったとおりに行動したおかげで、キャスパー殿下ともこうして親しくなることができた。

 何とか、上手くいったと思い、内心ホッとするハルコンだった。

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