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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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35 王立学校祭 その2_12

   *         *


「ねぇーっ、ハルコン。先ほど話の上がっていたブートキャンプって、……一体何ですの?」


 昼食の後、ハルコン達は校舎の教室まで、体術用の軽装服を取りに一度戻った。

 それから会場である校舎の表の第一グラウンドまで向かう途中、ステラ殿下が不思議そうに訊ねてこられた。


「ふぅ~む、そうですねぇ。まぁ、……ちょっとキツめの体操ですかね!」


「キツめですか? うふっ、私にもできるのでしょうか?」


「そうですねぇ、……」


 小首を傾げながら、改めて笑顔でお訊ねになる殿下。

 ハルコンは言葉を選びながら、「まぁ、最近の殿下はお元気でいらっしゃるから、イケるかなぁ」と思って、ニコリと微笑み返す。


 その表情に、殿下の頬がポッと、……ほんのりと赤く染まった。


「ステラ殿下ぁ、ハルコンがそんな笑顔をする時は、とぉっても危険なんですよぉ。あんまり彼のこと信用してはダメですよぉ!」


「ふふっ、大丈夫ですよミラ。私、ハルコンのこと、……心より信じておりますので」


「そっ、そうですか、……」


 横から口を挟んできたミラに、純真無垢な笑顔でお返事なさるステラ殿下。


「まぁ、一応警告はしましたからねぇ、……」


 そう呟くミラの肩を、シルファー先輩がポンポンと軽くお叩きになる。


「ふふっ、何を言っても無駄よ。相手は恋に恋するお年頃の、ステラちゃんなのですからね」


「ははっ、シルファー先輩。そんなのシャレになんないですよぉ」


 ミラはステラ殿下を案じた笑顔だが、シルファー先輩の目つきには、ほんのりと喜色が滲んでいた。


 何だろう。シルファー先輩から、邪気というか悪戯心っていうのかな? 

 最近の先輩は、若干イジメっ子の雰囲気が滲み出ているなぁと、ハルコンは思った。


 グラウンドに到着すると、既に多くの人でごった返していた。

 見ると、セイントーク家の長兄マルコムらサークルのメンバー達が、特設席で大会の準備をしていた。


 今回合同したイメルダのサークルのメンバー達も、大会準備に汗をかいていた。

 すると、その中心に頭一つ背の高い、10代後半と思しき眉目秀麗な少年がおられたのだ。


「へぇ~っ、どなただろう?」


 ハルコンにとって、初見の青年だが、……。

 でも、その知的でノーブルな雰囲気と、体育会系の快活さが合わさったような雰囲気には、どことなく見覚えがあった。


 先ほどまで隣りにいたシルファー先輩が、その場でタッと駆け出した。


「キャスパー兄様っ!?」


 そう仰いながら、満面の笑顔でその少年に抱き付かれるシルファー先輩。


 ふぅ~ん。なるほどねぇ。

 べたべただねぇ。もの凄ぉ~く、懐いていらっしゃるんだねぇ。


「ホンと珍しいね。あんな先輩、初めて見たかも!」


 耳元にこそりと告げてくるミラに、こちらもこくりと頷き返す。


 その長身の少年は、先輩の頭をよしよしと撫でながら、我々の存在に気付いたのだろう。

 とても女子受けしそうな爽やかな笑顔を浮かべながら、こちらに手を振ってこられた。


「いこう、ミラッ!」


「うんっ!」


 ハルコン達も、その場をタッと駆け出した。

 とりあえず、……この国の第一王子を待たせるワケにはいかないからね。

 波乱含みの王立学校祭2日目。

 ここで、ファイルド国第一王子の登場です。

 さて、……この出会いは、一体何をもたらすのでしょうか?

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