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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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35 王立学校祭 その2_04

   *         *


「あらぁ~っ、ハルコン。丁度いいところにきてくれたわ! 私もね、今、あなたに用事があったところなのよ!」


 ハルコンが王立学校祭の運営委員会本部に訪れると、オブザーバーのシルファー先輩が、「学校祭中日の本日、無事乗り切りましょう!」といって、大勢の委員会の学生達を前に号令をかけて盛り上がっているところだった。


 見ると、ステラ殿下も一緒におられて、先輩の采配の様子を見学されていらっしゃった。


 シルファー先輩も先日までの遠方への出張もなんのその、とにかく気合で乗り切るつもりなのか、元気溌剌のご様子だ。

 本部の室内は実行委員会の学生達の熱気でムンムンとしており、若さ漲るパワーで溢れていた。

 

 ハルコンは、そんな委員会の学生達から注目を一身に浴びることに、非常に戸惑いを覚えつつも、笑顔でひとつ頷いた。


「どうされましたか、シルファー先輩?」


「実はね、学校祭の優秀賞の景品、……どうせなら、もっと目新しいものに変更しましょうって話になったの。何かお願いできないかしら?」


 ハルコンは、この土壇場になって、出張から戻ったばかりの先輩が皆で決めた景品にケチでもつけたのかなぁと思ったのだが、……。


「ほらぁっ、ハルコン! なぁ~に、その目つき? そんなんじゃないわよ! ちゃ~んと皆で考えた結果よぉ!」


「はぁ、……」


「ほらぁっ、先日見せてくれた、あのバラバラなピースを組み立てるゲーム! ジグソーパズルだっけ? あれのことを委員長に話したらさ、じゃぁ景品にしようって話になったの!!」


「そう仰っても、あれって、……まだ発売前で、試作品の段階なんですよね」


「そこを何とかっ!! ダメェ?」


 そう仰って、ギュッと目を瞑って両手を合わせるシルファー先輩。それから、……あざとく舌をぺろりと出して、小首を傾げてみせて下さった。


 ハルコンは以前何かの弾みで、前世の日本での習慣で両手を合わせてお願いしてしまったことがあったのだが、……。


 それをシルファー先輩が覚えていらっしゃったのか、わざわざ真似してみせて下さったのだ。


 すると、他の委員達も先輩を真似して、同様の仕草でお願いしてくる。


「あぁ~っ、もうワッカりましたぁ。先日お見せした分よりも、簡易版なら直ぐに用意できますよ!」


「ニヒヒッ。なら全部で五つ、明日の最終日、この時間までに、ここに持ってきてくれるかしら?」


「いいですよ。それなら何とかなります!」


 すると、その言葉に即座に反応して、本部にいた委員の学生達が次々にハイタッチを始め、いっせいに拍手と歓声を上げた。


 おいおい、……何だか、ノリが良過ぎだろっ!

 そんなことを思っていると、シルファー先輩が、満を持してこう仰った。


「皆ぁ~っ、当初の予定どおり話は付いたぞぉ~っ! これで本日のお役目は大体済んだから、私とステラ殿下は会場内見回りのため、これより離脱。いいわねぇーっ?」


「「「「「「「「「「異議なぁーしっ!!」」」」」」」」」」


 その言葉に、委員の学生達と互いにサムズアップして、シルファー先輩とステラ殿下もニマリと笑っていらっしゃる。


 何だか、……どこぞの政治のワンシーンでも見させられている、……そんな気がしたハルコンだった。

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