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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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34 王立学校祭 その1_05

   *         *


 すると、廊下に通じる入り口のドアを、ノックする音がする。


「あら? こんな夜更けに、一体誰かしら?」


 サリナ姉の言葉に、ミラがこくりと頷くと、そのまま入り口前に進んでいく。


 今は、夜の7時過ぎだ。

 通常なら、学生達は皆夕食を終え、風呂に入った後、明日の授業の予習や宿題をする時間帯のため、部屋に人が訪れることは稀だ。


 ハルコンは、サリナ姉から花枯れについていろいろと話を聞いているウチに、段々と「フラワーインフルエンザ」が原因なのかなぁと、直感的に思い始めていた。


 もし、仮に花枯れの原因が「フラワーインフルエンザ」だった場合、通常なら焼却処分しなければならない。

 でもね。私には、その特効薬ハルコンBがある。


 先程もサンプルで試してみたら、無事蘇って花が咲いているしね。

 うんうん。だから、この問題も直ぐに解決だね。


「サリナさん、……お取込み中のところ、よろしいかしら?」


 すると、イメルダ・ロスシルドが一人で部屋に訪ねてきた。彼女の少し後方にいるミラが、露骨に冷や汗を掻きながら笑顔なのは、相変わらず彼女のことが苦手だからなのだろう。


「あら、イメルダ。こんな時間に部屋に訪ねられるなんて、いささか貴族の子女らしからぬ行いではありませんか?」


 そう言って、ニッコリと微笑むサリナ姉。

 サリナ姉とイメルダは同い年だが、イメルダが相手に「さん」付けをするのに対し、サリナ姉は呼び捨て。


 それは、ここ最近のセイントーク家が国に多大に貢献しているため、同じ伯爵家でもロスシルド家よりも家格が上になっていることを、暗に示しているらしい。


 以前ハルコンがその辺りのことを姉サリナに訊ねたところ、「それでいい」とのこと。

 ハルコンもまた、姉がそう言うのならそれでいいかと思い、素直に従っている。


 まぁ、学校の暗黙のルールで、身分に関わりなく「呼び捨て」が基本だからね。


「それで、イメルダ。どうされましたか?」


「実は、……我がロスシルド領でも、最近花枯れが問題になっているのです、……」


 イメルダのロスシルド領も、ここ数年、セイントーク領やシルウィット領に続いて花の生産を行っている。

 主に隣国コリンドに輸出し、莫大な収入を得ているらしい。


 隣国では、現在石鹸の生産が基幹産業となっている。周辺各国に輸出することで富をなし、その収入でインフラを急速に整備している最中だ。


 そして、その石鹸の香りづけに欠かせないのが、ロスシルド家の生産する花なのだ。


「そうなりますと、隣国コリンドの産業にも影響してしまいますね?」


「えっ、えぇ……。確かに、……」


 ハルコンの問いかけに、イメルダは一瞬だけど意外そうな表情を浮かべ、それから頷いている。


「その件は、後で私から寮長に報告しておきます。王宮からおってロスシルド家に指示があると思いますから、対応お願いしますね!」


「はっ、はい」


 おそらく、明朝には王宮にその件で報告がいくだろう。

 なら、直ぐに宰相らとステラ殿下を交えて、その件で話し合うこともあるかもしれない。


「とりあえず、ハルコンBの対処療法で大丈夫そうです。イメルダさん、ご安心下さいね!」


 その言葉に、イメルダは胸に手をやって、ホッとため息を吐いた。

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