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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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34 王立学校祭 その1_01

 もう直ぐ、王立学校祭まで2週間を切った頃のことだ。


 ハルコンは、学校祭の話題で盛り上がっている学生達を横目で見つつ、いつものように貴族寮の食堂で、たった一人で食事を摂っていた。

 

 食堂内は大変混み合っているのだが、ハルコンの席の近くに学生はほとんどいない。

 それもそのはず、学生達にとって今やハルコンは子爵位まで持つ純然たる当主貴族であり、大変恐れ多いから近寄れないのだ。


 まぁ、……親が伯爵や侯爵だろうと本人はただの「その子供A」に過ぎない連中と、そもそも「格」が違うのだ。こればかりはいたし方ないと言えた。

 

 ふと周囲を見ると、視線の合った学生達は皆、さりげなく目を逸らしてしまう。

 何だかなぁ、……とハルコンは思った。

 

 だが、そんな空気に負けないヤツもいて、それがノーマン・ロスシルドだ。

 友人のいないノーマンは、いつものようにハルコンの席の近くで、たった一人で飯をかっ喰らっている。


 こちらとしても、ヤツとはあまり一緒に飯を食べたくなかったので、わざわざ声をかけるつもりもなかった。


 今から数年前、ヤツのスタンドプレーのおかげで、ハルコンが隣国コリンドとの接触を試みることになり、最終的に国交樹立まで事態が進んでいった。


 そう考えると、ここ数年の平和は、ノーマンがそのきっかけだと言えなくもない。

 ただ、そんなことを頭の悪いノーマンが理解できるはずもなく、……。こちらとしては、今の距離感が丁度ベストかなぁと思っている。

 

 他にはノーマンの姉イメルダとその取り巻きの少女達がいて、こちらと視線が合うと向こうから軽く会釈で返された。

 彼女もまた、相変わらずその高慢な態度を隠そうとしない。

 

 でも、隣国コリンドとの正式な国交回復以降、その功労者であるハルコンやセイントーク家からの計らいで、ロスシルド家は隣国との貿易利権を維持することができた。

 

 その恩義もあって、ロスシルド家の長女イメルダは、ハルコンを敵視することを止めた。

 むしろ、最近では自身の運営するサークルとハルコンの兄達のサークルとの交流を深めているらしい。


 兄カイルズからは、学校祭が終わった後に、両サークル合同で武術合宿をする予定だと聞かされていた。

 まぁ、……上手くやっているのなら、それでいいじゃん、とハルコンは思った。


 そんなことを思いつつ、本日もお気に入りのオニオンバタースープに千切った白パンを浸して食べていると、食堂内の通路を、真っ直ぐこちらに向かってくる者がいて、ハルコンの傍らに立ち止まった。


 思わず食事の皿に落としていた視線を上に見上げると、腕組みをして難しい顔をした姉サリナ、その背後に弱った表情のミラがいた。


 ハルコンは、そんな2人の様子にただならぬ気配を感じ取った。

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