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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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33 姫君ステラ・コリンドの留学 その2_02

   *         *


 ステラ殿下がファイルド国に訪れる数日前、ハルコンは久しぶりにラスキン国王陛下とサシで面談を行っていた。


 陛下の言によると、仙薬エリクサー、「ハルコンタイプB」の開発、……それはファイルド国が始まって以来、あり得ない程の巨万の富を齎すことになったのだという。


 だが、これまでの苦難の道を忘れないラスキン国王陛下は、常に冷静でいらっしゃった。

 

 自身の子供達に「ハルコンタイプB」の営業活動をさせることで、「商才」と「我慢強さ」、更にはここぞのタイミングを逃さない「勘」を養わせているらしい。


 ハルコンは一貴族として、この賢王の方針を全面的に支持し、素直に頷いた。


「我はなハルコン殿、……もう戦争はこりごりなのだ。この国を何とか技術と経済で成り立つ国、平和を希求する穏健な国家に生まれ変わらせたいのだよ!」


 それは、ラスキン国王自らがハルコンに仰ったことだ。

 ハルコンは、かつてそういう国がたったひとつだけあったことを知っていた。


「陛下、……その国は列強に絶えず苛まれ、少ない資源を大切に使いながら、少しずつ国力を高めていきました。その国は、先ず第一に『人』を大事にしました。そして『人』を育てるために、知識の伝達をより重視し、地域ごとに学習施設を設けて綿密に行いました」


「その結果、どうなったのかね?」


「同時期の他国よりも、その国の識字率は非常に高かったと伺っています」


「なるほど。それは素晴らしいですな!」


 陛下には別のお考えがおありになるのか、その点については、若干トーンが下がっているように見受けられた。


「その国は、とりわけ『教育』を重視しました。身分に関係なく優秀な者を然るべき地位や上級職に据え、人々の生活を改善させるための仕組み作りに励ませたのです」


「その際、多くの反発、軋轢はなかったのかね?」


「陛下、……この世の中は、おしなべて現場と上級職が互いに『協力』し合うことで、制度が改善されてゆきます。互いに『尊重』ではなく、あくまで『協力』です!」


「なるほど。ハルコン殿、話を続けて下さらんか?」


「はい。例えば『経済』において、供給側が組織全体で「協力」し合うことで、仕組みが更に改善されていきます。消費者に安価で上質なサービスや商品を提供でき、生産者も販売者も全て笑顔にすることができます!」


「ハルコン殿、……それは貴殿の、前世での『知識』に基づいているのかね?」


「そう取って頂いて構いません」


 ハルコンの言葉に対しラスキン国王陛下が、「まるで、……未来のことのようではないか」と呟きなさったのが、とても印象的だった。

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