表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

251/447

32 姫君ステラ・コリンドの留学 その1_04

   *         *


「それでハルコン様! ローグの森でキングオーガを倒した時は、どうされたのですか? 首を落として持ち帰ると、ギルドではかなり高額の褒賞金が出るとのことですが、……」


「はははっ、そうですねぇ、……私もミラも殺生はいけないと思いまして。2人がかりで担いで森の奥に入っていったんですよ」


 ハルコンは得意になって話すでもなく、あくまで淡々と、ステラ殿下に当時の状況をご説明した。


 現在、ハルコンとステラ殿下、それにミラの3人は年齢が近いこともあり、王都の王宮に向けて進む馬車の中で、大いに話が弾んでいた。


 すると、いつの間にかハルコンとミラの日常的なフィールドワークに、話が進んでいった。

 ハルコンの話に、ステラ殿下は率直に疑問に思われたのだろう。以下のようにお訊ねになられたのだ。


「お二方は、日常的に森に入られたのでしょ? 危険なこととかありませんでしたか?」

 

 ハルコンとミラはお互いに顔を見合ってから頷くと、ミラが、「殿下、実はですね、……」といって、少しだけ身を前に乗り出した。


「へぇぇーっ。聞きたいです! 森で何があったのですか?」


 釣られるように、ステラ殿下も身を少しだけ前にお出しになられると、ハルコンとミラの武勇譚の続きを聞きたがって、先を急ぐようにお訊ねになられた。


「キングオーガと鉢合わせしてしまいまして。それで、直ぐに臨戦態勢に入りました!」


「怖くなかったのですか? キングオーガは、身の丈2メートル80センチ(地球のモジュール換算で表記しております)以上の巨体と伺っておりますが、……」


「怖かったですよ。いったん手足を掴まれたら、もうそれでお終いですからね!」


 ミラがさも軽い感じで答えると、ステラ殿下は目を見張ってひとつ頷かれた。


「とりあえず、ミラと2人で死角に入り、関節を狙って攻撃したところ、足元のふらついたキングオーガは、岩に頭をぶつけて気絶してしまいました」


「そのまま、……首を刎ねて殺さなかったのですか?」


「しませんよ。血を見るのが嫌ですから」


 ぶるると震えながら、率直に答えるミラ。ハルコンも笑顔でひとつ頷いた。


「そもそも、キングオーガの被害届が出ているワケでもありませんし。私達は2人ともお金には困っていませんから、2人で担いで森の奥に運んでいった後、特にギルドに届けたりはしませんでした」


「そんなぁ、……勿体ない。ミラさんは、それで良かったのですか?」


 ステラ殿下は執着のないハルコンに呆れたそぶりを見せつつ、笑顔でミラにお訊ねになった。


「えぇ。まぁハルコンなら、そうしますから」


 ミラはそう言って、ニッコリと笑う。こちらも同じく執着の「し」の字も見せないため、ステラ殿下は目を皿のようにして驚かれなさった。


「あなた方お二方は、周りから変わっているとか言われたりしませんか?」


「う~ん、そうですねぇ、……。まぁ、それも納得済みですから、私!」


 屈託なく笑うミラに、殿下は呆れたように長いため息をお吐きになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ