表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

249/443

32 姫君ステラ・コリンドの留学 その1_02

   *         *


 ファイルド国側で、ステラ・コリンド第三皇女殿下の護衛を引き継いでから数日。

 殿下の入国の報せが、早馬を使って国中に瞬く間に拡散していった。


 一行の移動中、ゆく先々の沿道には多くの人々が詰めかけ、その麗しき殿下を一目見ようと、固唾を飲んで見守っていた。


「とても美しい姫君がいらっしゃった!」


「お美しくて、愛らしい。思ったよりも華奢なお姿だわ!」


「この世の者とは思えないくらい、かわいらしい!」


「隣国の姫君は、黒髪でいらっしゃるのだな!」


 沿道の人々の多くは、それ程までに美しい姫君が隣国から訪れたことを、心より歓迎した。


 だが、戦後10年経った今でも、その傷跡は深く残っていた。

 人々の中には、蔑みの言葉をぶつけたり、石を投げ付けようとする者もいることにはいた。


 ここで間違いの起こらぬよう、王宮側は中年の一級剣士ら護衛の任にある者と連携して、厳重な警備網を敷くことで上手く対応した。


 ステラ殿下の一行が無事に王都に到着すると、王宮までの沿道は歓迎する多くの人々で埋め尽くされた。


 あちらこちらから女性達の黄色い声が上がり、両国の友好を感極まって訴える声や、最近王都で流行の「万歳三唱」で出迎える人々も大勢いた。


 ちなみに、その「万歳三唱」についてなのだが、……。

 実はこれ、ハルコンが王宮の求めに応じて提案した歓呼の礼のひとつだ。


 民衆が王族の奉送迎に対していちいち最敬礼をするのも堅っ苦しいので、どうせなら歓呼の言葉を挙げさせることにしたのだ。


 元々、ハルコンの前世の地球でも「万歳三唱」は明治時代以降に始まった、比較的新しい歓呼の礼のひとつだ。


 それが、今ではおめでたい席や、繁栄や発展を祈る式典で普通に使われるようになっており、このファイルド国でも採用するに至ったのだ。


「「「「「「「「「万歳! 万歳!! 万々歳!!!」」」」」」」」」」


 一斉に沿道の大勢の人々が叫ぶものだから、馬車の客室の席にいらっしゃるステラ殿下は、その細い両肩をびくりと震わせた。


「ステラ殿下、……そうご心配なさらずともよろしいのですよ!」


「はい、ハルコン様。ただ、この迫力に気圧されてしまって、……」


「ハハハッ。まぁお気持ちはワカります」


 ニコリとお笑いになられる殿下に、ハルコンとミラもニコリと笑顔で相槌を打つ。


「この度は、お二人が私の護衛をして下さり、誠にありがとうございます」


「いいえ殿下、お気遣いなく。今後王立学校でも、私どもがご一緒させて頂きますので、どうかよろしくお願い申し上げます」


 その言葉に、薔薇のような笑顔で頬を染められるステラ殿下。ハルコンの傍らのミラも、笑顔で頷いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ