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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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31 王ラスキンと神の御使い_06

   *         *


『女エルフ殿。一体どうして、ファイルド国は目を見張るような戦後復興を成し遂げられたのでしょうか?』


『そうですねぇ、ステラ殿下。……新たな産業を興したり、開発の手を緩めなかったことが大きいのではないかと思われます』


『ふむふむ、なるほど、……』


 ここは、隣国コリンドの宮殿の一室。

 朝日が差し込める中、侍女に髪を結って貰いながら、ステラ第三皇女殿下は女エルフに対し、興味深そうに頷かれていらっしゃった。


 その様子を、ハルコンは女エルフの思念を通じて、じっと見つめていた。


 ファイルド国の比類なき戦後復興という、まさに奇跡のような発展を、これまで様々な外交ルートを通して聞かされてきたのだろう。殿下は大変熱心なご様子だ。


『女エルフ殿は、王都にもいらっしゃったのですね? 街の様子はどんな具合でしたか?』


『はい。人や馬車が多く行き交い、建物はどれも背が高いですね。多くの店が軒を連ね、朝から晩まで、たくさんの商人や職人、多くの買物客で賑わいます、……』


 ステラ殿下は、女エルフに対し様々にお問いかけなされた。

 それは、女エルフを介して思念の先にいるハルコンにも、同様にお話なされているような印象を与え続けていた。


 実際、ステラ殿下は女エルフのその先に、隣国の王都の様子を思い浮かべていらっしゃるのだろう。

 更には、現在王都に滞在中の、ハルコン・セイントークという少年に対しても、……。


 その幼き少女の目の奥に、今後のことを見据え、好奇心と野心の入り混じった色を浮かべていらっしゃるのが、ハルコンには見受けられる。


 それはとても印象的に、とても魅力的に映っていたのだ。


 この2年、コリンドはハルコンの様々な介入、施策を通じて徐々に発展を遂げつつある。

 衛生環境の改善、インフラ整備の再開、新たな産業、例えば石鹸の製造を国家規模で行い、最近では周辺諸国に輸出することができるまでになっている。


 つまり、外貨の獲得も視野に入れる程の経済規模にまで回復してきたのだ。


 更には、女エルフを介して、隣国ファイルド国から様々な物資が届いてくる。

 これまでは、国境を接するロスシルド領との密貿易が盛んだったが、最近は女エルフを介する「神の御使い」ルートを通して、貿易を行っている現状だ。


『女エルフ殿は、ハルコン・セイントーク様、「神の御使い」様に、最近お会いになられたのでしょうか? どんな方でいらっしゃるのですか?』


 興味津々にお訊ねになられる、ステラ第三皇女殿下。


 ハルコンは、ほんの数年前、瀕死の病人だったステラ殿下や皇室の方々を救い、その後も定期的に仙薬エリクサー「タイプB」を送り続けている。


 その恩に対し、殿下は必ずや報いたいと思っておられるのかもしれない。

 その瞳には、大いに熱がこもっていらっしゃった。

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