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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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30 火薬_06

   *         *


 週末の夕方から、貴族寮の裏庭の会場で行われている花火大会。

 既に開始してから30分程経過しているのだが、……会場は、未だ興奮冷めやらぬ状況が続いていた。


 今回参加した学生達は、「火」を娯楽にするなど、これまで全く行ったことがなかった。


 数日前、急遽セイントーク家のハルコンが、何やら新作の発表を兼ねたイベントをやると、貴族寮内で話題に上がっていた。


 ハルコンは、今やひとつのブランドだ。

 王族のシルファー第二王女殿下と親しく、先日の武闘大会でも大いに活躍していた。


 ハルコンの発明と聞くと、とにかく新しく、便利で、楽しいというイメージが思い付く。

 そんな数々の発明をハルコンが齎して、世の中を明るく素晴らしいものにしてくれた。


 そして、今回の花火大会というイベント。何やら「火薬」というものが用いられるのだとか、……。


 とにかく、その「花火」や「火薬」という言葉に、全くイメージが思い浮かばない。

 でもハルコンなら、今回も何やら新しい体験を自分達にさせてくれるはず!


 そんな具合に、興味半分、好奇心半分で会場に集まった者達で占められていた。


 そして、大会は手提げ花火から始まり、……最初は「火」を扱うことに戸惑い気味だった多くの学生達。


 それでも徐々に慣れてきたところで、今度は地面を高速回転する花火や、耳をつんざくような音を発する花火に、思わず度肝を抜かされる。


「ではっ、いっくよぉ~っ!!」


 ハルコンと親しくしているといって話題の、麗しきミラ・シルウィット。


 そんな彼女の掛け声とともに、学生達の目の前には、地面から空に向けて高さ3メートル程(地球のモジュールに換算しています)の炎を噴き上げる花火が、突如出現する。


 その花火は、床に設置された10数基がそれぞれ七色の炎を噴き出しており、観客達はただただ圧倒される。


 その様子は幻想的を超え、まさに現実的に立ちはだかる炎の壁だ。

 強烈な火力! 優美なだけでなく、戦争において一個師団の前進を止める程の強制力すら垣間見えるのだ。


 心得のある者にしてみれば、この炎の壁ひとつだけでも、戦場で大いに役立つことがワカるはずだ。


 実際、学生達の間で謎多き人物とされている寮長が、目を見張ってその炎の壁を見つめているのだから。


 学校の有力な女子達に囲まれている王族のシルファー第二王女殿下も、その表情が固まっている。


 おそらく、このハルコンの発明は、大陸広しといえど、ここだけでしか見ることのできない、……大変貴重な体験をしているのではないかと、今更ながら学生達は思い至った。


 しばらくして、その美しき炎の壁が火力を減衰してゆくと、学生達は残念半分、安心半分な気持ちになった。


 漸く、気持ちが落ち着いてきた。


 あぁ、……今夜はホンと夢でも見たような体験ができた。

 とっても、……楽しかった。


 そんなことを大半の参加者達が思っていると、主催者のハルコンがミラと共に、会場の中央で、何やら太い筒のようなものを設置しているのだ。


 まさかっ!? まだ、何か続きがあるのかっ!?

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