表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

228/446

29 仙薬エリクサー_13

   *         *


「ところで、ハルコンよ。今回、何か手土産はないのか?」


 王ラスキンが、ニコリと笑顔で訊ねてこられた。

 最近では貴族寮の研究室に入り浸りのシルファー先輩も、興味深そうにこちらを見てきた。


「はい。こちらなのですが、……」


 そう言って、ハルコンは手提げ鞄から試験管に入った薬剤を、ひとつ取り出した。

 今回、せっかく王宮に招かれたのに手ぶらでは何なので、とある薬剤のみを試験管に入れて持ってきたのだ。


「それは何なのかね?」


「ふむ、……私には、それが何か黒色の砂土としかワカらないのだが、……」


 大人達は皆、腕を組んで考え込んだ。


「とりあえず、近くでよく見せてくれ!」


「陛下、……こちらになります」


 王ラスキンに促されてハルコンが直接手渡すと、他の者達はその試験管を囲むようにじっと見た。


「ハルコンよ。先ず、成分を教えてくれ!」


 陛下が率直にお訊ねになられた。


「塩硝と硫黄と炭の化合物となります」


 ハルコンはニコリと返答する。


「硫黄と炭はワカるのだが、塩硝とは一体何なのだね?」


「硝石ですね」


「それは、陛下にお見せする程の品なのかね?」


 宰相が侮るように訊ねてきた。


「はい、閣下。この世界の常識を、根底から揺るがす程のものとなります」


「ふむ、……オマエにしては、今さら随分大袈裟な物言いだな?」


「まぁ、……そうですね」


 すると、先程より傍で様子を見ていたミラが、「ハルコン、それって、貴族寮の床下の砂土を集めた物だよね?」と不思議そうに訊ねてきた。


「あぁ、確かに。私も2ヶ月ほど前に、お二人が貴族寮の床下から何かを集めているのを目撃しておりましたわ!」


 シルファー先輩も、その時のことを思い出したようだ。


「はい。あの時は蜘蛛の巣だらけで、大変参りました」


 お互いそう話すと、ニッコリと笑い合うシルファー先輩とミラ。


 大人達は、それを聞いて再び考え込む。


「ハルコン、そろそろタネ明かしをしないか? 我々には、とても判断が付かないのだ!」


 父カイルズが降参して、穏やかに訊ねてきた。


「こちらの薬品を、私は『火薬』と呼んでいます」


「『火薬』、……それは一体どんな性質で、何に使うものなのかね?」


「その名のとおり、燃焼して爆発します。娯楽から戦争まで、用途は様々ですね!」


 そう言って、ハルコンはニッコリと笑った。

 ハルコンは、この世界にふたつの薬剤を齎しました。

 ひとつは、アイウィルメクチン。もうひとつは、火薬です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ