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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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220/444

29 仙薬エリクサー_05

   *         *


 そろそろ、王都の街の中心地、王宮が見えてきた。

 先程までは庶民街地区を通過していたが、隣接する貴族街エリアを越えると、閑静な空間の中心に王宮が聳えていた。


 王宮を囲む堀の前に到着すると、衛兵を務める若い騎士2名がこちらに近づいてきた。

 他の2名は、シルウィット家の馬車の方に向かっている。


 父カイルズは、馬車の車内から御者に王宮への招待状を手渡した。

 御者がそのまま衛兵の2人に招待状を渡すと、書類に瑕疵がないか綿密にチェックを受けている。


 おや? 以前よりも警備が若干厳しくなったような、……。

 漸く許可が貰えたようで、両家の馬車は、それぞれ王宮の堀の上にかかる跳ね橋を越え、中に入っていく。


「うわぁ、……凄いなぁ!」


 ハルコンは、今回もまた王宮の内部の広さに驚いた。

 多くの役人や騎士達、女中達が忙しく動くのを見て、「さすがはこの国の中心地だけあるなぁ!」と、またしても感心した。


 馬車は途中から衛兵に誘導され、父カイルズとハルコンが降車すると、御者は馬車を所定の位置に移動していく。


 すると、軽装の鎧の騎士が3名、父カイルズの前に歩み出た。


「カイルズ卿、並びにご子息のハルコン君、これから陛下の許にご案内します!」


「了解した。丁重な対応に感謝申し上げる!」


「では、こちらに!」


 少し離れたところでも、シルウィット家を相手に衛兵が同じことを行っているのが見えた。


 ハルコンは、2週間ほど前に追加の冷蔵庫の納入に合わせて、仙薬エリクサー「タイプA」と「タイプB」の両方を提出していた。

 ただ、せっかく招かれたのに手ぶらでは何なので、とある薬剤のみを試験管に入れて持ってきていた。


 途中、詰所の応接室で両家は合流する。


 ハルコンが持ち込んだグッズのチェックを受ける際、役人からいくつか質問された。

 その質問にハルコンはスラスラと答えていると、「ハルコン君。マッチはワカるのだが、これは一体何だね?」と最後に訊ねられた。


「塩硝と硫黄の化合物です」


 ハルコンはシレッと答える。


「それは、陛下にお見せする発明品ということかね?」


「はい。この世界を揺るがす程の、……」


「ふむ、……キミの実績から、これはさぞや素晴らしいものなのだろうな?」


「まぁ、……そうですね」


 役人が顎に手をやって考え込む仕草をすると、先程より傍で様子を見ていたミラが、「ハルコン、それってこの前、貴族寮の床下の砂を集めて作った物だよね?」と助け船を出してくれた。


「床下の、……毒ではないのだな?」


「はい。王都で最近流行の、マッチとよく似た性質の薬品です」


 ニッコリ笑うハルコン。


「よかろう。持ち込みを許可します。今日はキミ達のハレの席だ。王国貴族の一員として、大いに歓迎しますぞ!」


 セイントーク家とシルウィット家の両家は、迷路のような王宮の、そのまた奥まった部屋に案内された。


 ミラが途中不思議そうにあちらこちらに目をやっているのが、とても印象的だった。

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