表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

178/441

25 帝都に赴く女エルフ_01

 外で、夕方6時を示す鐘が鳴った。


「さて、……と。食堂のおばさんに頼んで、軽食を用意しようかな」


 ハルコンは一人呟くと、居室兼研究室を出て寮の大食堂に向かった。


 中に入ると、食堂の席には多くの学生が食事をしたり、仲間ウチで談笑したりしていた。

 ハルコンは、いつものように慣れた調子で厨房のドアをノックする。


 そのまま進んでいくと、作業エリアの隅っこの棚の上に、いくつもの軽食がトレーに載って並んでいた。


「ハルコン君、持っていくトレーの番号と、サインお願いねっ!」


 調理中の厨房の奥から、おばさんが大きな声で話しかけてくるので、「ワカりましたぁ~っ!」とハルコンも大声で応じた。


 ここの軽食は、食堂で食べる時間のない学生や職員向けに、特別に用意されたものだ。


 元々そんな裏メニューはなかったのだが、ハルコンが厨房にお願いしたところ、他の人もこれは助かるとばかりに利用し始めて今日に至る。


 ハルコンのような研究生や職員達は、なかなか食べる時間が取れないため、ホンとありがたいサービスだ。


「今日はどれにするかな?」


 ハルコンはざっと見てから、サンドイッチと冷スープ、サラダのセットのトレーを取り、黒板にチョークでサインすると部屋を出た。


 食堂を出て廊下を歩いていると、女子寮に続く通路からサリナ姉とミラ、他に何人かの女子グループとすれ違った。


「ハルコン、今日も自分の部屋で食事なの?」


「いや、これは知人に届ける用だよ。後で、食堂で食べるつもり」


 ミラが心配そうに訊ねてくるので、ハルコンは笑顔で応じた。


「なら、たまには私達と一緒に食べない? せめて、デザートだけでも、……」


「了解。10分したら戻ってくるから。ミラはサリナ姉さん達と先に食べてて!」


「うん。ワカった!」


 そう言って、お互いに笑顔で手を振って別れる。

 ちらりと振り返ると、サリナ姉がミラに、「お熱いねぇ、お二人さん!」と言って揶揄っている様子が窺えた。


 ミラもまんざらでもなさそうに、少しだけ頬を赤く染めて笑っている。


「ヨシッ、……と」


 ハルコンは軽食の載ったトレーを持って、自室に急いだ。


 先程、女神様から頂いたスーパーチートスキル「マジックハンド」。

 そのスキルを使って、これから隣国にいる女エルフに食事を届けるのだ。


 ちゃんと、上手くいくのかなぁ? 

 とにかく、早くスキルを試してみたいなぁと思い、ワクワクしながら部屋のドアを開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ