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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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24 ハルコンの名声_13

   *         *


「懐かしい、……味です」


 ハルコンは、久しぶりに食べるヨッ〇モックのクッキーに、思わず目に涙を浮かべてしまった。


 すると、女神様が身を少し前に乗り出してこられて、こちらの手をそっと掴んできた。

 ハルコンは思わずドキリとして、……照れ笑いを浮かべながら女神様の表情を窺った。


「晴子さん、あなたは慣れない異世界に渡り、それでもなお不屈の精神でアイウィルビンをお作りになられました。あなたをこの世界に送った者として、とても素晴らしく正しい判断であったと自負しております」


 笑顔だけど、とても真剣な眼差しで、女神様がこちらを見ていらっしゃった。


「そんな、……勿体ないです。私はただ、この世界でできることを試しただけですから、……」


「ふふっ、ご自身をもっと誇りに思いなさい。あなたは、それだけのことを成し遂げたのですから、……」


 ハルコンは女神様のお言葉から、まだ仮説段階のアイウィルビンと「試薬A」が、一回目にして正解を引き当てていたことを、これで理解した。


 つまり、この二薬を掛け合わせると、この世界でもアイウィルメクチン、仙薬エリクサーを開発することができることになる。


「あっ、あれっ!?」


 気が付くと、……目からとめどなく涙がこぼれてきた。


 このファルコニアと呼ばれる世界にきて、もう直ぐ8年。

 こんなにも涙が溢れるのは、……これが初めてだった。


「よく頑張りました。晴子さん、……あなたはご自身を褒めて上げてもよろしいのですよ」


 女神様はそう仰って、晴子の両手を握る手に、更に強く力を込めてこられた。


「女神様、……私は、これから何をすればよろしいのでしょうか?」


 ごく自然に、そんな言葉が口からこぼれてくる。


 神とは、正解へと人を導いて下さる偉大な存在だ。

 晴子は、つい女神様にそう問いかけていた。


 すると、女神様はいつものように慈愛に満ちた目で、こちらの瞳の奥底まで理解したように見つめていらっしゃった。


 思わず、ゾクリとする晴子。

 女神様にとって、晴子の気持ちなど先刻ご存じなのだと、その時深くワカった。


「晴子さん、……もし私が、これから新たにチート過ぎる能力をお渡ししますと申しましたら、受け取って下さいますか?」


「えっ!?」


 ハルコンは、女神様の意図が一体何なのだろうかと疑問に思った。

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