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天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生  作者: 西洋司
第一部「ハルコン少年期」

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22 仙薬エリクサーにまつわる話_09

   *         *


「おや、……。こちらのイラストは、見覚えあるかも」


「どれどれぇ、……」


 ミルコ女史の言葉に、ギルマスは直ぐにその次のイラストを受け取った。

 しばらくの間、不思議そうに顎に手をやって見ていたが、「おぅ、そうだな」と言って、何かに気付いたようだ。


「ハルコン、こちらの葉の描かれたイラストは、ワシも見覚えあるぞ!」


「ホンとですかっ!?」


 ハルコンは、思わず身を前に乗り出した。


「あぁ。王都の森の禁猟区内で、この植物は自生しているな」


「えぇ、そうですわ。ですが、この葉の植物はピンク色の花といった、こんな形状はしていなかったですね」


 ギルマスの言葉に、ミルコ女史も相槌を打つ。


「ちなみに、その植物の名は何と言うんですか?」


 ハルコンは、食い付くように質問した。


 だって、もしかすると、夾竹桃キョウチクトウの代わりになる植物かもしれないじゃない!!

 それって、この世界でも地球同様に、エリクサーを開発できるってことだよねっ!!


「ハルコン君、もしかすると、キミの探している植物とは違うかもしれませんが、……私達は、この植物を『回生の木』と呼んでいます」


「あぁっ、昔はこの葉を煎じて、お茶にして飲んだりしたらしいな?」


「えぇ、確かに。ですが、しばらくの間は元気が回復するのですが、長く使うと腸が腫れてくるのでしたよね」


「そうだ。今の我々は、この木を『毒』物に指定している位だしな」


「えぇ、そうですね」


 ギルマスとミルコ女史の話を聞き、ハルコンは一瞬眉根を寄せた。

 おそらく、……先ず間違いない。


 まさに「回生の木」こそ、この世界の夾竹桃だ。


 すると、こちらの表情を汲み取ったのか、ギルマスとミルコ女史も笑顔になった。


「おぅ、ハルコン。どうやら、オマエさんのお眼鏡に適いそうか?」


「ハイッ!」


 ハルコンは白い歯を見せてニコッと笑った。


 ちなみに、この「お眼鏡に適う」という言葉だが、……これはハルコンがドワーフの親方と共に光学式顕微鏡を開発した際、その過程でレンズを生み出していた。


 元々、近視、遠視共に多かった世界に、セイントーク領から続々と装着型のレンズ、「眼鏡」を投入したことで、視力で不自由を感じていた人々の多くが救われることになる。


 まだセミオーダーのため多少値が張るのだが、ミルコ女史のように専門機関の研究員なら、少しだけ奮発すれば購入も可能なのだろう。


「よかったね、ハルコン!」


「うん、ありがとう!」


 ミラが、嬉しそうにこちらの両手を握ってくる。

 漸く光明が見い出せた。ミラがず~っとサポートしてくれたから、何とかここまで辿り着くことができたと、ハルコンは思った。

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