アステア王国
『主人よ、ついたぞ。』
パチッ
「綺麗な国ね。」
あれから、まだ一日しか経ってないのにもう隣国のアステア王国に着くだなんて。
普通ならテレポートを使っても国境を超えるまで3日はかかり、そこから王都まで半日かかるのに。
もう王都に近い森にいる。
『これからどうするのだ。』
「どうしようかしらね。」
今まで、世のため人のためと生きてきたから何をすればいいのかわからない…。
「とりあえず、この森に住むことにしましょう。」
ここの精霊達は、私と友達になってくれるかしら。
「ドリアードさん、いらっしゃいますか?隣国から来ました、ユリアーナと申します。私がここに住む事をお許しいただきたいのですが。」
サァァアッ
ーフフフッーアハハッー
『貴方、聖女と呼ばれる人間よね!この国に現れるのは久しぶりだわ!』
『聖獣様までいる!すごい!』
「こんにちは。私はもう聖女の身分を剥奪されましたので、ただのユリアーナですわ。」
『へー…相変わらず人間は愚かね!』
『貴方、とても心地いいわ!ここに住む事を許します!家も作ってあげる!』
ゴゴゴゴゴッ
あっという間に立派な家ができた。
これが森の精霊の力。すごい。
「これからよろしくお願いしますね!」
『『歓迎するわ!ユリアーナ!』』
精霊達は、嘘をつかない。
気に入らなければ攻撃するし、気に入ればとても手厚く歓迎してくれる。
「うわ!中もすごく可愛い。家具もあらかた揃ってるわね。足りないものを買いに街にいきましょ。」
『承知した。』
聖女服しか無いのでドリアードに頼み、森の仲間達の力を借りて服を作って認識阻害魔法で王都の港へついた。帝国には海がないから、潮の匂いも初めて。
「ありがとうフェル。また後でね。」
まずは住民登録と貨幣換金をしなければ。
「こんにちは。この度この国に越してきました。手続きをお願いします。」
「承知いたしました!換金はもうお済みですか?まだなら先にお手続きしますね!」
「よろしくお願いします!」
とりあえず、鞄の中から聖女としての1ヶ月分の支給金を渡す。
「うわっ、すごい大金…手持ちで大丈夫ですか?金庫なども借りれますが。」
「大丈夫です。そのまま持ち帰ります。」
私の鞄には空間魔法がかかっていて、何でも入れることができる。
物を取り出すには私の意志が必要でスリにあっても何も取られる心配はないのだ。
「ではここにサインを。こちらに居住場所の記載を」
名前と住む場所を記入すると手続きはすぐ終わった。
「はい、手続き完了です!改めまして、水の都アステア王国へようこそ!貴方の暮らしが最良でありますように!」
「ありがとうございました!」
水の都か…確かに水の精霊達の気が満ちてるわ。
『ようこそ!アステアへ!』
『貴女ね!森の精霊達が言ってた人間は!』
『本当に心地いいわ!素敵!』
「ふふっ…ありがとう。これからよろしくね。」
森の精霊達とも水の精霊達とも仲良くなれてよかった。私は一人じゃ無いのね。
さて、買い物しに行きますか!