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第八話・医師の処方ミスについて

 前シリーズでも書きましたが医師だって人間ですので間違いはあります。私も処方ミスされたとおっしゃる患者さんには何人か会っています。医療ミスもありました。亡くなられてニュースになったことも経験しています。元勤務先がテレビに放映され、顔見知りの先生方が記者会見で謝罪していて、ぎょっとしたこともあります。このエッセイは薬関係なので、私がからんだ話をこれからします。またパソコンでの薬品オーダーでの入力ミスについては、微妙に話がずれますので次の機会にまわします。つまり、今回は医師が対面して薬局にまわしてきた処方せんの内容の話限定です。


◎ 一人目、投薬された薬で想定外の副作用が出た患者さん。アナフィラキシーがでました。一時は死ぬかもとまで思われていましたが無事生還。医師のせいではないのですが、医師はすみませんと謝罪されたそうで、逆に恐縮されていました。なんか身体が熱いです、どんどん熱くなってきますと医師と電話で相談して今すぐ救急車で来てくださいで助かりました。医師がまだ外来におられたこと、アナフィラキシーの初期状態の対応に熟知されていたことで助かったのです。謝罪しあいは、看護師も私も笑っていましたがお互いがそうやっていれば争いにはなりません。私は医師も患者さんも偉いと思いました。意識不明だった患者が起き上がって医師たちと向き合って会話ができるのは吉兆です。このケースでは特に感動しました。


◎ 二人目、投薬ミスをされたというものです。ただし、客観的証拠はなく、自己主張です。間違えられた薬で朝起きられなかったと息子を連れて怒鳴りに来たおばあさん。何をしたいのかときくと誠意が欲しいと。つまり……お金ください、ですね。病院にはこういう人もきます。入院患者でも同じケースでありました。全部睡眠薬がらみです。

 外来も忙しいですが、騒がれると他の患者に迷惑です。なので、別室で事務員から事情聞き取りとして誘導されます。でも、お金なんか絶対に出ませんよ。やるだけ無駄です。これは頭が悪い人がお金が欲しいあまりに行動すると思っています。また一か所ではなく、複数の病院でやってます。民間の病院や医院では風評被害を気にして相手にするところもあろうかもですが、くせになりますし、毅然とした対応をしてほしいです。


◎ 三人目、横紋筋融解症、アスリートの病気という印象が強いが薬の副作用でもあります。

 私が知った患者さんは、開業医に数年通院でされて、副作用かなと思っても「トシ」 だからと一言ですまされてしまっていました。その開業医も門前薬局も注意しなかったのがダメなところです。脱力感や筋肉痛があったが本人が若い時から時々あったことも見逃される原因でした。

 別の開業の整形外科で痛み止めをもらっていたがどうにもならず我慢の限界が来た。ある時、初めて行った薬剤師に相談したらもしかして……でビンゴ。総合病院で入院治療となりました。この人は発見が遅かったので腎障害を起こされ透析まで行きました。副作用は早く分かるほど早く完治します。副作用は多分気のせいと思っても、無駄足を踏んだと思っても注意してしすぎることはないな、と思います。


◎ 四人目、医師のケアレスミス。転院患者、腎障害があるのは紹介状でも血液像でもわかっているのに、禁忌薬を出された。処方監査で薬剤師がきづき、疑義照会で処方変更を依頼したら処方自体が中止になった。ここまではOK.しかし病棟のその日の担当看護師は電子カルテの記録を見ないで、その医師とは別の医師に処方薬のマルマルがない、と口頭で伝えて処方せんを新たに出してもらったという。

 幸いだったのは、入院患者の処方は院内の薬局で調剤する。処方監査担当薬剤師が気付いて「なぜ出したのですか」 となる。重大な事故につながる案件だったので局長と婦長が事情を聞いたら、その看護師が「医師の名前で処方発行をしていた」 のが判明しました。当然名前を貸した医師と看護師二人して注意をされました。

 看護師も日勤や準夜勤、夜勤での引継ぎが甘く、処方中止になったこともうっかり忘れ、別の看護師が別の医師に再処方を依頼した。医師名で出した以上、看護師の責任がどうのこうのではない。同室に似た名前、病気の程度も同じなどの言い訳はここまでくると関係ない。

 この件は、院長まで話がいきました。ゆるゆるな病棟で夜間時に簡単な痛み止めは処方せんがなくとも常備緊急薬から出して後出し処方を切ったりするところでした。これもこの際見直しだということで処方発行は医師自身がやる、看護師は一切タッチしない。

 一方、薬局内は処方監査を調剤前と調剤後と二重にやることになりました。こういう小さな積み重ねで重大事故を未然に防ぐということをやっています。正確にはブレアボイドといいます。次回の話に回します。






追記::横紋筋融解症の話。それが起こりうる処方薬が出た場合は患者本人に副作用が出てないか必ずチェックしています。薬以外でも過度の運動を続け過ぎたアスリートさんがなったりします。骨につながる筋肉が壊死しちゃうけど、腎臓に来るのが怖い。 最初に心当たりのない筋肉痛や脱力感が来ます。結構怖い病気です。でも、発見が早ければ大丈夫。事故や怪我でもなったりします。

 


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