第六話・薬を飲ませるのはナイショです……の話
病気でないといって薬を飲むことを拒否する人もいます。
とある精神疾患もしくは老人性アルツハイマー患者が多いです。病識が皆無で薬を飲む必要がないと考える患者さんです。
幼い子供は今回の話とは対象外です。保護者の特権で「飲みなさい」 と言うとたいていは飲んでもらえますので。薬だよ、という言葉なしでいかにして薬を飲ませるか。
通常は必要性もないのに、無理やり飲ませると悪意がありますので立派な犯罪です。特に睡眠薬や精神安定剤はだめです。某国で聞いた眠剤や精神安定剤を使って幼子をレイプなどという犯罪は私が独裁者ならそんな犯人から税金も取りたくないし刑務所で養うのも無駄ですので遠慮なく死刑にします。また話がそれました。
患者自身が嫌でも飲んでもらわないと患者がしんどい、もしくは周囲の介護者が心労で倒れそうなときは医師も内緒で飲ませなさいといいます。治療に協力的な同居家族が多いほどやりやすい。
そのやり方は詳細すぎると思わぬトラブルになる可能性がありますので書きません。でも皆さまの予想通りです。粉砕して薬に見えぬ形状にする。もしくは何かに混ぜて飲ませる。
内緒で飲ませることを想定してわざと無味無臭にしている商品もあります。ご家庭の様子もうかがいますがまず家族さんがしっかりされてないと管理どころではないです。高齢の親が管理されているケースもあります。家庭内へは在宅指導の指示がない限り薬剤師は介入できませんので薬の交付の時間は貴重です。
様子を話すことを拒否される家族もいますので無理強いはしませんが、年だけはくってますのでいろいろな家族の話を聞いてます。これならどうかなどのアドバイスだけはできるかと思います。気軽に相談、で、事態が良い方向に動くことがあります。忙しい時は簡略化もそりゃありますが、聞いてくれたらちゃんと後刻でも後日でも対応できます。これはどこの薬局でもそうだと思います。
必要な薬を飲むことを拒否する患者。それでも親の愛情、もしくは子の愛情がゆえ、騙してでも飲んでもらう。それで症状が落ち着けばそれでいいのです。だましてでも飲んでもらうことに有益性を感じておられる家族はとても慎重で、薬袋やラベルは全て拒否されますし、私たちも心得て渡しません。薬局名の入った袋にいれず、どこにでもあるビニールに入れて渡します。そこまで徹底しています。
こういった人は福祉が入っていればいいですが、入ってなくて本人も数年間診察に来ない状況だと処方内容も不変になる。だからいいとは限らないので、交付時の聞き取りも慎重にしています。また家族さんも患者の為と思えばこそ、協力的で話に応じてくださる。こちらも経験値があがり、別の患者や家族のためにフィードバックできる。記録することで局内同志で情報を共有する。それが薬剤師会の勉強会で知恵を出し合い双方でレベルアップ。医学の進歩の最先端ではないですが、こういった流れで仕事も少しずつレベルアップを目指しております。すべては患者のために、です。終わります。