第五話・ジェネリック薬をすすめて怒られる話
私は某役所に名指しでクレームを入れられた経験がございます。今回はその話。
医療費財政は皆さまご存知の通り圧迫されています。その緩和政策の一環としてジェネリックに変更すると決められました。強制なようだけど強制ではありません。前シリーズでも少し触れていますので経緯などの詳細は割愛します。
どういう患者様に対してもジェネリック薬ををすすめています……が……
「私をバカにしているから安物で粗悪品なジェネリックをすすめた! 許せん!」
と感じる人がいます。
こういう人が時折見かけるのは声を大にして言いますが(書きますが)
↓ ↓ ↓
「ジェネリック薬品は粗悪品だという認識が一部でまかりとおっているからにほかなりません」
ジェネリック、イコール粗悪品の是非は後にするとします。
」」」」」」」」」」」
私の名前を前面に出して「患者に粗悪品をすすめる悪い薬剤師がいる」 と、市役所の福祉課にクレームを入れられました。勤務している薬局名と名札をつけていますので私のフルネームを覚えて帰られたのです。もちろん、こちらとしては患者をバカにするためにジェネリックをすすめたりはない。
その人は生活保護の人なので、以前から福祉の人からジェネリックに変更するようにと通知や実際に言われたらしくかなり気分を害されていました。
三割負担の人などに、ジェネリックをすすめて医療費を安くあげられたと感謝される一方、ジェネリックは粗悪品いう固定観念を持たれる人は「バカにされた」 と感じるのです。
本件は局長から電話の件を告げられた時に誰かわかりましたし、服薬指導履歴を開いてみても何度か別の薬剤師もジェネリックを進めており、それも断られています。
一応、断られていても時間が開けばすすめることになっていまして、とおりゃんせ、ではないですが、私に順番がきて、気分を害される憂き目にあったわけです。怒りの感情は誰しも当然あり、感情爆発は誰もがやることではあるが、少しの不満でも我慢できず抑えられぬ人がいます。その人がそうでした。
ジェネリックは先に発売された先発品と何がどう違うのかというと、ハンバーグのつなぎのやり方が違うと上手に説明した先生がいらっしゃいますのでそれを踏襲します。
ハンバーグという名称は同じでも店によって味が違うのは、つなぎのパン粉の品質やコネ方、配分が違うからです。安いからという理由で値段は下がっても一応主成分は肉というのは同じ。
ただ特許が切れたとしても配合量などの割合などの特許が切れていないのでそのままそっくりには作って販売できません。
というわけでジェネリックの製薬会社は先発品よりは口どけがいい、子供に好む味付けのシロップですよ、などのウリをいうわけですね。
採用する薬局もそれぞれの特色を踏まえて、ジェネリックの受け入れをするわけです。が、いくら説明しても、ジェネリックを勧めること自体、患者に対して失礼だとクレームをつけるほど怒る人もいるのです。
無理強いしているわけではないのをわかってくれぬ。福祉課の人から普段の様子もうかがい、かなり神経過敏になっておられることで、この人にはジェネリックをすすめるのは永遠に中止になりました。
しかし、ゴネ得かと思えば、長い目で見てそうでもなさそうです。その人は己の服薬管理ができず、結局体調を崩して入院になりました。身寄りのない人はその後、福祉の世話になりますね。私のもらう薬は高級品とでも思って満足されていたのかは知りませんが、いくら説明してもわかってくれない人にはいくらジェネリックの有益性を解いても無駄だと思います。
先発と後発と効果が全く同じとは言い切れません。事実ある医師はマルマルのバツバツの人には絶対先発に限ると断言しました。投薬後の検査像などを見て感じるものがあるのでしょう。もちろんその場合は先発で行きます。患者さんから三割負担の人で先発が本当はいいけど高いから、と嘆かれると辛い面もあります。逆にジェネリックでも効果一緒で薬代が安くなったと喜ぶ人もいる。効果面で見るとモノによっては薦められないものも正直ありこちらも難しい立場だと感じます。