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第三十三話・きちんと通院するけど薬を飲まない人々


 先に糖尿病の話の補足です。月に一度や、数カ月に一度の通院はきちんとする。だけど薬をきちんと飲まない人々がいます。薬剤師も交付の時には服薬状況は聞きます。聞きますが模範的回答で毎度薬を早く受け取って帰りたい様子を見せられると、話はそこで止まります。

 認知症以外の理由で、ついつい飲むのを忘れると、忘れないような工夫をアドバイスします。カレンダーに貼りつけるのも、普通にいいです。

 外食すると「絶対に忘れてしまう」 ので「絶対に忘れないやり方」 を教えてくれと言われた時、私は貴女の場合は、粉薬一種類なので財布の上に直接セロテープに貼り付けてくださいと言いました。少なくとも外出時は一回は財布を開くだろうと思いますので。もしくは寝る前に明朝の出勤時のドアノブに朝食後の薬をはりつけておくなど。やり方はいくらでもある。認知症の人だけは他の人の手は必要です。自覚のない人はこういうことは言わないので難しい所です。


 認知症や特定の精神疾患以外は、飲んでるふりをして通院だけきちんと続けると、医師はそのつもりで治療を続けます。いざとなれば、結局困るのは患者本人です。患者はその「いざ」 が来ると常日頃はきちんと通院しているので、医師もちゃんと診てくれるだろうと思っている。でもそれっておかしくないですか。

 これはもう亡父のことでもそうなんですが、治療に真剣でないことの表れです。苦しいなどの症状がなくなり、いわばのど元過ぎて熱さを忘れた人、脳梗塞発作後や何らかの手術後のフォロー受診などで元の健康体に戻れたと思っている人……。

 薬がないと発作が起きてしまう癲癇てんかんや喘息の人は、まじめに飲みます。薬がないと、どうなるか理解している人、危機感がある人は薬の扱いも丁寧できちんとされています。


 たまに薬局で薬を引き取てもらえないだろうかと遺族に依頼されることはあります。一度凄い人がきました。段ボール箱二つに薬を満杯にして持ってこられたのです。一つは未使用のインシュリン注射器、そりゃ注射器は医療廃棄物になりますから持参で正解です。もう一つは飲み薬が箱いっぱい。かさばる粉薬が多かった。ご遺族は湿布だけはもらっておきましたとおっしゃる。こういう場合は受け取る側も「飲んでなかったのね」 などという無駄な会話はしません。お悔やみを申し上げ、事務的に引き取るだけです。そして廃棄処分です。

 海外でも医薬品廃棄率の多さも問題になっているようです。研修で画像を見たことがありますが、あちらでは箱調剤がメインでそれが山積み。日本に限らずどこでもそうなのかと思いました。薬は命綱と感じない人が医師の顔だけ見て安心感を得て薬は廃棄の運命。本当に医療費の無駄だと思います。患者の意識を変えないといけないけれど、薬剤師はそれについては何ができるのか、昔も今もその状態が続いているのは懸念すべきだと思う。薬価を下げるなどの処置で医療費を抑えるよりも、こっちを何とかすべきではないかなと。



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