第二十八話・薬が飲めない人々
粉薬の匂いが単純にダメだと言う人がいます。粉薬が出たら錠剤に変えてくれなどとおっしゃいます。幸い、現在はいろいろな剤型があります。錠剤、散剤(粉薬のこと)、水剤、外用(軟膏、貼り薬など)、注射も。錠剤や散剤も飲めない人用に、パッチといってシール状のものもあります。それぞれのヴァリエーションは昔のそれと比べると広がっています。それでもなお、薬が飲めないとおっしゃる人はいます。
① 錠剤がダメで粉ならOK
単純に切り替えもしくは粉砕処方にします。
② 粉はダメで錠剤ならOK
子どもに多い。同じような薬で錠剤があれば切り替え、なければオブラートやゼリーを購入してもらいます。ゼリーと言うのは龍角散が発売している「お薬飲めたねゼリー」のことです。味はいろいろあります。最初は子供向きだったのですが、今は大人向けのものまで出ています。
③ 粉も錠剤もダメ、というより拒否の人
精神科薬に多い。薬によってはパッチといってシール形式のものがあり、貼ってもとれない背中の真中などに家族や施設職員に貼ってもらいます。それもできなければ症状によっては入院してもらっての点滴治療になります。
④ 薬全般の人工的なにおいがダメ
病院の処方は多くは人工的に造られたものです。ハーブや漢方薬ならいいとおっしゃる。ならばと漢方医を紹介したら遠方にもかかわらず転院された人がいます。元々調剤薬局はそういう患者はあまり来ないのですが、やむを得ない事情で受診するはめになった。こういった人でも相談に乗ることができます。自然食品にも強くこだわる人は病気になって入院、外科的な手術という事態になったらどうされるのだろうかと思います。
⑤ 宗教的な理由でダメ
私がかかわったケースでは、親が信者でした。本人は親と同居。交通事故や病気になったら治療のすべてを拒否されそうと相談されたことがあります。通院も服薬も内緒でした。すでに成人されていたので、別居されたらというと、それはできないという。でも離れないとどうしようもないよと私は言いました。薬剤師の業務を越えた余計な一言だったかもしれませんが後悔していません。薬は必要だから処方されたのに、同居の育て親にも言えず隠れて飲むのはかわいそうな話です。
以上、いろいろな事情といろいろなこだわりがある人がいらっしゃいます。私だけ特殊だと悲観しないでくださいね。薬に関しては、薬剤師は必ず患者さまの力になります。




