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第二十四話・監査


 監査というのは、監督し、かつ検査をすることをいいます。薬剤師業務で重要な項目の一つです。

 医師の処方内容や処方通りの薬がそろっているかチェックをします。監査が通るとあとは患者さんの身体に入っていくものですので、「最後のとりで」といっていました。間違った医薬品をそのまま通すと医療事故につながります。当たり前ですが新人薬剤師は最初は監査はさせてもらえません。また監査は各薬局ごとにルールがあります。たとえば散薬は散薬だけ、錠剤は錠剤だけの袋を作る。だけど三日分ならば散薬と錠剤は一つの袋に入れてもいい。そういう細かいルールはどこでもあると思います。

 処方内容確認のあと、ヒートの錠剤だけの場合は、mgチェック、形態チェック、そして数を数える。ときに監査担当薬剤師の性格が出ることもある。なぜか薬のヒートの重ね方に、こだわる人がいます。十錠で一枚のヒートの半端をゴムで束ねるときにも、きっちりと重ねろという。ニョキと一枚だけヒートが飛び出して見えぬように。それとゴムは真中で止めるなど。

 逆に数があっていれば「それぐらいええがな」 と言う人も。いろいろです。

 塗り薬のチューブでもキャップ部分を下にして並べるべきだとこだわる人もいました。普段から几帳面で融通がきかない人。これも人材です。監査一つでもいろいろ。薬袋を束ねる輪ゴムのかけ方も十字架になるようにと指示する人もいました。よそから異動してきた人が監査後の薬袋をホチキスで止めていると、危ないからダメだと注意されていました。でもその人にとってはそれが当たり前のまとめ方だったのです。元の職場の常識は異動先の職場の非常識になったりもする。その人も素直に従っていました。


 散薬調剤もまたそれぞれの薬局でも細かい取り決めもあります。散薬というのは粉薬のこと。どれだけ慎重に調剤しても、粉の飛び散り、分包機の遺留などはどうしてもあります。それを考慮して誤差を決めます。その範囲内であれば、監査を通します。通らなかったらやり直しです。

 病棟ルールというものもあって、抗菌剤は必ず別の袋にするなど。特殊な薬には薬包紙に赤線、青線を引く等も。散薬の粉の状況によってはばらつきがでやすいものもあって気を使います。処方指示で散薬と錠剤を最初から一緒に分包すべきものもありました。薬局のみならず各部署との取り決めもあり、それに従っているかどうかも監査項目の一つ。薬局を通してどの薬もすべて患者さまの身体にかかわりがでます。

 外部に出る直前の薬のチェックが監査、最後の砦と称されるのも当然だと思います。薬局の中の人の監査係一つでもそれぞれの性格が浮き彫りになる。今回は患者のわからぬところで、こういうこだわりチェックがあるという話でした。



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