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第十三話・粉砕調剤


 処方せんに錠剤が書かれていても、最後に粉砕指示の記載があれば粉砕調剤をします。理由はその患者さんが錠剤のままだと何らかの理由で服薬できないからです。

 粉砕調剤には、粉砕機が不可欠です。コーヒー豆をくだいて粉にする機械、電動式のコーヒーミルと原理は同じです。今は昔と違って粉砕する速度も選べます。時には時間も。粉砕パターンまでも。

 昔は粉砕機にかけると多少の熱が出ますので一部の薬にはよくないということもありました。その場合は乳鉢に薬を入れて、乳棒でこつこつと砕いていました。でもこれをするとたくさんの時間がかかります。今は三十日どころか保険がきく限度いっぱいの九十一日処方がでます。分包機も一度の操作ですべての包装ができるわけではありません。小分けに分包するなどの工夫が必要です。

 錠剤によっては粉砕に適さないものもあります。粉にすると苦みが出たり、変色したりは医師からの指示があっても調剤できません。他の剤型、たとえばテープや塗り薬にするなどの提案をします。

 腸溶性といって胃では解けない剤型も粉砕調剤には適しません。新薬がでて、粉砕指示処方が来ると、まずそうやって粉砕した場合、期待する効果に影響はないか調べます。また同じく粉砕調剤で他の薬と飲む時間が一緒だと一緒の袋……分包紙に入れるかどうかも決めます。これも薬剤師しかできない作業の一つです。

 どうしても粉砕では適さないのをわかっているが、あえて粉砕してくれという医師もいます。理由を伺い短期間の日数での調剤にして、ということも経験しています。もしくは患者の家族に本人の服薬直前に包丁の柄で粉々にしてもらうなどもありました。服薬を間違えることはあってはならぬので、その場合はきちんと方法を教えます。処方せん自体がその患者さんだけのもの、いわばオーダーメイドですので、それぞれ処方監査をしたうえで調剤に取り掛かっています。

 自分の足で歩ける人はめったに粉砕指示は出ません。在宅の患者さんもしくは老人施設にいて嚥下困難のある人、もしくは口から飲めない人、たとえば胃ろうや腸ろうの患者さんが多いです。いつか家族が、自分がそうなるかもしれないなあと思いつつ今日も頭に使い捨てキャップ、使い捨てマスク、換気を厳重にして調剤させていただいています。





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