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青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
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一泊二日の戦い 17

えっと、とりあえず今までの事をまとめてみよう。

まず村上が誰かの下着を盗んだ実行犯。そしてそれに協力した人、恐らく女子、そして村上より立場が上な人がいる。そしてその人が何かしらの情報、もしくはそれに類する何かを持っていてそれで村上が黙っている。女子は俺を恐れて基本外に出ない。出るとしても必ず2人で行動。さて、ここから導き出される犯人は?

「......一切の証拠はないけどストーリー的に鏡石な気がする。」

「......ここで私の考えを一通り話してもいいと思うけれど、それじゃあ今後もしあなたが一人で解決しなくちゃいけないことが起きた時困るしね。まず最初に、この一連のシナリオは村上とその協力者さんどちらが考えたと思う?」

「それは協力者さんだろう。こいつクラスでもかなりバカだし、さっきみたいにすぐバレる嘘をわかりやすく吐く。そんなやつには無理だろ。」

もしかしたらそれすらも演技で実はめちゃくちゃ策士とかだったらもうお手上げだけど、まぁ性格は顔に出るというし、こいつの馬顔もそこに起因するのかな。

「でしょうね。全生徒の資料を見た時も、この学校の入学ボーダーラインぎりぎりだったわ。臨機応変な対応も苦手らしいし。じゃあ次、協力者の人数は何人だと思う?」

「えっと、それは2人じゃないかな。下着の受け渡しが女子のエリア内で行われていたら、そこに男子がいるだけでかなり怪しまれるだろうし。女子が必ず2人で行動する中、1人だけってのは男子ってことになるから、もしそれを見られたら『あそこに誰かいない?一人?ってことは男?ってことは狐神?110番、と』ってなる可能性が...高いんだろうなぁ、きっと。そうなると女子エリアから離れるほうが遥かに安全だから、その為には2人で行動しなくちゃいけなくて......。何かごめん、自分でもかなりわかりにくい。」

「1人の村上を女子エリアに招くのは見られた時に一気に怪しまれる。だったら2人でトイレにでも行き、そこで受け渡しをしたほうが見られるリスクは上がっても何かと言い訳できるってわけね。」

はい、その通りです。相変わらずなんでノアが一人で行動できてるかしらんけど。

「そうね。もし私が協力者ならまだそっちの方法を取るわ。」

そうなると次は動機とか?やべーな、心当たりが多すぎてわからんぞ。今日だけだって永嶺を早々に見捨てたって言われてるし、それで鏡石と喧嘩したし、その後肝試しで一緒に歩いたってことになったし。女子風呂覗こうとしたなんて言われるし。......やっぱ鏡石じゃね?

「......狐神。もう一度よく考えてみて。協力者について。」

「えっ?」

ノアの言葉に思考が止まる。一瞬考えてみたが全く分からず、感情駄々洩れの村上を見れば少しは分かると思ったが、『?』としか書いてなかった。......ただその顔は『何言ってんだこの女。こいつの言ってることは正しいぞ』というわけではなく、『そう言われると違和感がないようなあるような』といった村上自身も何とも言えぬ気持ちを抱き始めているような顔をしていた。

一体何が違うんだ?どこを間違えた?いや、もし間違えたのならノアは『そっちの方法を取る』なんて言わない。つまり方法自体は間違ってない。じゃあ何だ?協力者についてよく考える?協力者は俺を陥れようと村上を使って、村上じゃバカだし臨機応変なこともできないからシナリオ作って......。


あれ?......じゃああの台詞は?


「......なぁ、村上。お前さっき協力者について訊いた時、『ちょうどいいタイミングで1人出てきた』って言ったよな?それっておかしくないか?」

そうだよ。俺はてっきりあの言葉はこいつが急いで考えて言ったことだと思った。だけどこんな野郎にはそんな芸当できるわけない。つまりあれは協力者があらかじめ考えて伝えた策だ。でも実際、女子が1人で小屋から出てくることはない。

ノアもその言葉を待っていたかのように「そうね。」と呟く。なるほど、確かにこのままだと普通に協力者は女子生徒2人のまま進んでいくところだった。

それが鍵となり、一気にピースがはまっていく。そして容疑者候補が全て消え、その協力者が分かった。

「でも......なんで......」

「そればかりは資料を見てないといくら考えてもわからないわ。......いえ、実際は資料を見ていてもこういった手段で攻めてくるとは思わなかったけれど。......あなたが話すのが辛いのなら私が代わりに話すけれど?」

ノアが暗闇に向けそう言うと弱くか細い声で「いや~、それは私に話させて。」と返ってくる。しかし大して離れているわけでもないがなかなかここまでたどり着けない。.......それはそうだ、たった数時間であれほどの症状が治るわけない。みんなのいる小屋からだいぶ離れたここに来ることだってしんどいに決まっている。

「......本当に、なんでなんだよ。永嶺。」

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