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青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
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幼気な女子高生を侍らすカス人間の日常

「そして、結局更生委員会の仕事とはどんなことをすればいいんですか?」

この学校において人権無視にも等しい最底辺階級の仕事ということは理解したが、実際その事業内容については無知そのものだった。強引に入れられたに等しいから当然と言えば当然か。実際退学はしたくないから、どんな仕事でも基本的に拒否権なんてないんだが。

先日の話で受け持つのはクラス担当でもある遠井先生だが、他にも先生が受け持つこともあるらしい。名目上は遠井先生ということか。

「生徒会の庶務の仕事とそう大差ありません。簡単に言えば学校のあらゆる仕事のお手伝いという感じです。とりあえず手始めの仕事としてはこれですね。」

そういってボロボロの黒板に白い字が書かれていく。

『1、2年生向け、大学受験のすゝめ作成』

「仕事は......もう一つありますが、期限なども考ええるととりあえずこっちです。早い受験意識が当然受験では何より大切です。それはあなたも分かっていると思いますが、それでも『まだ早い』『部活が終わるまでは』そう考える生徒は多数います。その注意喚起が目的です。」

今や男女問わず大学に行くことが普通の認識になってきてるもんな。高校卒業後、5割が大学進学、2、3割が短大、専門等に行くと聞いた。俺もそのつもりでいるが、まだ大学受験のシステムとかよく分かっていないし、気を引き締めるためにも初回の仕事としては全然悪くないな。......にしてももう一つの仕事って何だろう、遠井先生の顔が一瞬で青ざめたんだが。人でも殺めるんか?

「国立、公立、私立、総合選抜、公募、指定校、地域、共通、1次、2次、前期中期後期、個別学力、共通利用。選択肢が多いところは良くも悪くもありますよね。」

「選択肢が多いから考えるのを後回しにして、結局ギリギリになってしまうというのは、毎年一定数いるわ。」

とりあえずシステムをパワポでまとめてみたが、実際にそれを見やすくするとなるとなかなか難しい。自分がそれについてよく理解して、それを分かりやすくまとめなければならない。知識があるだけでできる仕事ではない。


しかしそんなものも放課後の空いた時間を使えば、あまり時間のかかる作業でもなかった。一応シート作成ごとに遠井先生に校閲をお願いして、1週間もたたずに大部分が終わった。

「はい、これで大丈夫でしょう。あとは実際の生徒の意見を聞きます。アンケート対象は大鵠君(一般受験)、橄欖橋さん(推薦)この二名ですね。大鵠君は正直私はどうかと思いましたが、瀬田君と同じ、トップクラス偏差値ということで。それに2人ともあなたの知り合いですから問題ないでしょう。」

「うす。」

まぁ全く知らない誰かを相手にするよりかはずっとマシかと思いつつ、2人にインタビューの形式を取っていった。

最初は大鵠さん。

『いつから大学は決めておりましたか?』

「そりゃあ勿論瀬田さんの合格が決まった時だね。」

1年前には既に受験を見越して動いていた、一つ上の先輩方の合格発表の際には、自分と照らし合わせていた。

『勉強をする中で気を付けていたことは何ですか?』

「次へんなことしたら速攻退学だからそれには気を付けていたかな。」

常に危機感を持ち、油断を生まないようにしていた。

『後輩に何かアドバイスのようなものはありますか?』

「そういえばこの前、クラスの京さんといい雰囲気だったらしいじゃん。ああいう子は自分から仕掛けるのはかなり難しいと思うから、狐神君からどんどんリードしていかないと。あと、多分あれもういけるよ?」

誰かに言われたから、など受け身の態勢でなく自分から仕掛けていくように。周囲の人と同じ歩幅ではなく、リードしていくくらいの気概を持つ。


選手交代。

『大学受験に推薦という選択肢が生まれたのはいつ頃ですか?』

「そんなことよりもさ~、なんでお菓子の一つもないの?残り少ない高校生活をこんなつまらない取材受けてるんだよ?誠意ってものが感じられないな~、誠意が。」

明確な時期は分からないが、残りの高校生としての時間を意識していた。また、大学受験だけではなく、それ以外の自分の娯楽なども大切にしていた。

『成績を上位に維持し続ける秘訣などありますか?』

「よしよし、このくらいあればまぁ少しは話してあげてもいいかな。あ、このお菓子新作で結構おいしいって噂のだよね~!やっぱり食べ慣れてるのもいいけど、気分転換は大切だよね~。」

普段の行いを崩さないことも大切だが、たまには気分転換なども踏まえることによってここまで来た。特に新しいものを取り組むことは大切。

『皆さんが受験が終わるまで時間はあると思いますが、その間何をする予定ですか?』

「え......なんかあんまり美味しくない。あと食べていいよ~。」

特にやることは決まっていないが、折角の時間ということで、自分のしたいようにする。


「カス共が......」

「「なんか言った?」」

「先輩たちがいなくなって寂しいなと。」

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