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青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
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可愛いの最後の日 7

「話すのは随分と久しぶりだな。なんだ?クラスでも普通に過ごせるようになったから、俺に説教でも垂れに来たのか?今やパートリーダー様だもんなぁ。」

「まさか。お前に説教したところで戻っても来ないだろうし、俺もそんなこと時間の無駄したくない。単純に気になることがあった。前までは積極的に俺に嫌がらせしてきたが、最近は全くぞれがなかった。確認だがそれは大鵠さんに見捨てられているからだろ?」

以前より大鵠さんにこいつが媚びを売っていることは俺も知ってたし、何より本人の愚痴を聞いていた。適当にあしらっていたが、いよいよそれもめんどくさくなり、先日本格的に切られたらしい。そしてなぜかそれに対して大鵠さんに逆上、したが一睨みされて情けなく帰ってきたと聞いた。

「おいおい、勘違いすんなよ。俺の方から切ってやったんだ。牙を捥がれた人間についていく理由なんてないしな。最初から期待してなかったから別に構わないが。」

「それで残りの高校生生活1人寂しく、何も残らないような1年半ほどを過ごすのか。」

「さっきから何が言いたいんだよ。俺はてめぇと雑談なんかしたかねぇよ。」

相変わらず人格終わってて助かるよ。心置きなく使い捨て出来る。

「それとは別に話があるんだ。」


そしてそれから残りの日々はとにかくたくさんの練習をした。他のクラスもしっかりと練習しており、少なくても現状ではどこのクラスが勝ってもおかしくはないと思う。ただ4組だけは他クラスの目に映るところで練習はせず、その実力は分からないことが不安ではあった。隠れるようにして練習することに特に意味はないと星川も言っていたが。


当日、ホールにはまだ招待客はおらず、みな準備に回った。発表の順番は1組から順に行っていく。俺ら7組は丁度半分といったところ。1組はまだステージにはいないが、立ち位置としては1組がステージで歌っている間、2組がステージ袖で待機、その後ろに3組、そしてそれ以降の4組、5組、6組は建物裏の空きスペースで練習といった具合。ちなみにそこにもモニターがあり、ステージの様子が見れる。そして俺ら7組以降は客席にて待機。1クラスが終わるごとに1クラス進んでいく流れとなる。

「にしても、水仙に見せてもらった映像越しにはわからなかったが、結構広いんだな。普通に緊張してきた。」

「他にも演劇や講演会、イベント会場にもなるっていうくらいだしね。......今美桜ちゃんに見せてもらったって言った?」

「ん?あぁ深月といっしょ痛い痛い!!」

「静かにして、高校生にもなって場所も弁えられないの?」

「だったら尖った爪で太もも抉るのやめてくれないか!?」

座席は出席番号のため、俺の隣には車谷と小原が座る。しかし車谷はこの時間が退屈らしく、本番のその時間まで外でいつもの3人でたむろするとのこと。よってこの凶暴な水仙に纏わりつくNK細胞の相手を俺がしなくてはいけない。

「なんで本当に美桜ちゃんはこんな男にそこまで......必要なら私が相手するのに......」

「別に水仙がいいってわけじゃないが、俺は小原の相手するの嫌だぞ。直ぐに暴力に訴えるし。あいつもあいつだが。」

「私だってあんたなんかお断りよ。」

お前が相手するって言ったんだろ。本当にこの年頃の女子は何を言っているのかよく分からないことがあるな。


少し遠くの方に星川の姿が見えた。向こうもこちらを視認したらしく、こっちに来てとジェスチャーが来た。俺は準備まで時間があるからいいけれど、4組の伴奏で出る星川はあまり時間がないのではないか。いずれにしても後輩は無視できないので星川の元へ駆け寄る。

「なんだか久しぶりに感じますね。怜奈ぁ、会いたかったです。」

「そんなことないだろ。生徒会でも会ってんだし。それよか準備とかいいのか、4組は外でみんな練習してんだろ。」

「そうやって直ぐに否定ばっかしてると女の子にモテませんよ。欲しいのは唯一感と共感です。そもそも外にはピアノはないので、私がいる意味ないんですよ。......話す相手とかもいないので。」

それは確かにそうか。星川から提案されたことではあるが、確かに先輩のクラスメイトといても気まずいことこの上ないな。逆に言えば今星川が話せる相手は俺とノアと兜狩、鶴くらいか。その中でわざわざ俺を呼ぶとは。勿論勝負のこともあるからと分かってはいても。

「初めて星川のことを、ほんの少しだけだが可愛いと思えた。」

「......え、いや、無理。」

ガチトーンやめろ。いつもお前が求めていることだろ。さんざん求めて少し気のある振り見せたら違うって蛙化みたいな感じのやめろ。情緒わからなすぎる。

「それで、4組の仕上がりはどうなんだ。俺のクラスに勝てる自信はあるのか?」

「さぁ、私たちのクラスは他と隔絶された中で練習してましたから何とも。」

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