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青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
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下らない暇つぶし 9

「会長、これでもし負けても鶴を責めないでほしいんです。あの子絶対自分を必要以上に責めると思うから。」

「別に俺は遊び半分だから全然負けても気にしないけどな。......分かってる、俺がそんな軽い気持ちで始めたことで鶴が責任を感じるようなことがあれば流石にそれはちゃんと謝る。だからノア、そんな睨まないでくれ。」


そしてやっと結果が出たらしく一人の男が前に出てくる。紙をポケットから出しマイクを確認し喋り始める。

「えー、結果が出ましたので発表します。今回瀬田会長は参加してないので省きます。ではまず得点11点、大西さん。そして続いて蓬莱殿さん、得点20点。そして最後に小淵さん。得点19点。よって生徒会の勝利です。」


その放送は保健室で睨み合っていた二人の耳にも届く。

「あらー、負けちゃいましたか。折角あそこまでアシストをしてもらったのに。まあ端から期待はしてませんでしたけど。じゃあさよならです禦王殘さん。また今度。」

「待てよ、一藤(いちふじ)。」

禦王殘は逃げようとする一藤の首を掴み勢いよく寄せる。そしてバランスを崩したところで足を掛け、床に叩きつける。さらに首を足で踏みつけほとんど呼吸をさせない。

「てめぇの事はよく知ってたつもりだったが、完全に誰かの下につくなんざ、お前も随分変わったんじゃねぇか?てめぇ一体誰の犬になったんだ?」

その言葉に先程の爽やかな笑顔とは逆に憎悪に満ちた笑みを浮かべる。

「お前だってあの会長の犬みたいなものだろ。ははは......すまん、悪戯が過ぎたな。ちょっと...ゆる...」

顔色が変わって来た辺りで少し足の力を抜く。一藤はせき込みながらも笑っている。

大鵠たいごくさんですよ。あなただって多分名前くらいは知ってますよね。まぁ一年で知ってる人は基本いないはずなんですけどね。」

そして禦王殘が何かを言おうとした時、扉が開き真弓先生が入ってくる。そちらに視線をずらした一瞬で一藤は消えていた。これ以上追いかけるのも面倒と感じた禦王殘は真弓先生に事情を話し、鶴を預けた。


そして残るはバスケと鬼ごっことなった。


「ねぇねぇ、狐神く~ん。ちょっとちょっと。」

この独特の話し方は確か永嶺さんか。振り返ると本人がそこに立っていた。「やぁ。」と気さくに話しかけてくれるのは嬉しいが前までと態度があまりにも変わっていてなんか怪しいな。

「まぁまぁそんな顔しないでよ~。別に罠に嵌めて更に立場を悪くしようなんて考えてないからさ〜。」

うーん、これは冗談なのかマジなのか分からない。表情からも全く分からないし、とりあえず話だけ聞いてみるか。

「で、なんざんしょ?」

「なんざんしょ......。あのね、最近みおーちゃんと話したんだけど、なんか変な感じのよ。何と言うか〜、君のこと話したら「わ、悪い人じゃないよ」とか〜「も、もう大丈夫だよ?大丈夫大丈夫......。」とか。挙句彼氏さんと別れたって聞いて。つまりそういうことかな〜って。」

あの女、確かにあの件については黙ってもらうようお願いしたが下手か。これじゃあまるであいつが俺を好いてるみたいじゃないか。確かに?かわいい女の子にモテることは悪い気しませんけどね。

「どうやったら洗脳って出来ますかね?」

ちょっと。

「さも俺がそれをやったみたいな事を言うな。なんか勘違いとかでもあったんじゃないのか?」

そう言って適当に誤魔化す。相手はこの答えに満足いってなさそうだがしばらくすれば興味もなくなるだろ。「じゃ」と短く挨拶するとその場から去る。


「下手か。」

「う、うるさい。」

「普通に『もう興味ないわ。』くらいでいいんじゃないか?」

「分かってる。」

「じゃあ言ってみ?はい。」

「べ、別に興味なんて......ない......はず」

「何故こんな簡単なことさえ言えないのか。まぁいいや。」

いい機会であるからこの際に今の淀川について訊いてみた。あれから淀川は生活面は大して変わってないが、この女の主観だと少なくても精神的にはきてそうとのこと。あんまり変わってもらっては困るしとりあえずはよさそうだな。

「今度のバスケには出るの?」

淀川の話をとりあえず聞けたので解散しようかと思った時にそう言われた。黙っといた方がいいかとも思ったが、別にこいつにならいいかなと話した。あんまり具体的なことまでは言えないが。

「そう。でも勝てるの?強いんでしょ、うちのバスケ部。」

「別に瀬田会長のお遊びだからその必要性はないんだけどな。でも鶴があそこまで頑張ったからな。」

鶴はあの日の翌日もあまり体調が優れず休んでしまった。ノアと瀬田会長がお見舞いに行き、瀬田会長がひたすらノアに謝らされたらしい。まぁ今はもう普通に学校にも通っているが。

「何か知ってることあったら教えくれないか?」

「まぁ私が知ってることなんてほとんどないけどね。」

それからしばらくの間水仙の話を聞いた。確かに役に立つ情報はさして得られなかったが、聞いておいてよかったこともあった。


そしてバスケ部との対決本番。試合は5対5の7分×第3クオーター。役割はセンター(ゴール下で頑張る人)を春風さん、ポイントガード(指示を出す人)を瀬田会長、シューティングガード(主に外からシュートを打つ人)をノア、パワーフォワード(体の強さを求められそのチームのエースみたいな人)を禦王殘、スモールフォワード(オールラウンダーというか、臨機応変な対応が求められる人)を俺が担う。大雑把な素人説明を許してください。鶴は体調も考慮されとりあえずベンチで肩を温めておいてと言ってある。……まぁそれでほんとに温めたタオルを首に掛けるのはどうかと思うが。

てなわけで今ティップオフ。

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