表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
413/606

旅鞄には甘いお菓子と少しのスパイスを 24

放課後となり、今日は新たに深月もメンバーに加わるということで改めて全員が集まった。この期間は結構な数の人が修学旅行の関係で部活を遅れて行く人がいるため、それに関しては特にお咎めなどは無い。しかしそれ以前にうちのグループで抱える問題をどうにかしなければ。

「で、その後宇野とはどうなんだ?」

宇野がトイレで外れている時に五十嵐に話をした。他の人はみんな深月に寄って話をしていた。五十嵐はあんまり新しい人とかには興味ないようで、ある意味丁度暇そうにしていたので話してみた。

「正直よく分からないわ。あれからぶつぶつと話しかけられることはあるけれど、仲良くしたいのかしら?言いたいことがあるならハッキリと言ってもらった方が楽なのだけれど。」

「それは確かに。......あの、なんで遠井先生までいるんです?」

俺たちの後ろで何かの業務片手に、時々俺たちのことを見ている。まぁ面子からしてなんとなくの予想は着くが。

「白花さんと深月さんがいますから、流石に他の生徒と同じように班行動を組ませる訳にはいかないのよ。2人は有名人だからもちろん自覚はあると思うけれど、今は学校というセキュリティーで守られています。でもここから出れば誰がどんな形でも接触できてしまう。悪い人からすれば修学旅行なんて絶好の機会ですからね。」

ひと昔前はこの国は安全な国の代表みたいな感じだったが、最近は割と物騒な事件も聞く。というか俺なんかその物騒な事件の被害者になったわけだが。

宇野もトイレから帰ってきたが、遠井先生の真剣みを帯びた話に黙って席に座った。

「というわけで、あなたたちの行動には、白花さんのマネージャー、警備の人1人、式之宮先生が行動を一緒にします。とはいえそれではあなたたちに窮屈な思いをさせてしまいます。そのため少し距離は開けておきます。」

それに加えて白花から謝罪の言葉が付け加わった。

「本当にごめんねみんな!どうしてもみんなと旅行に行きたかったんだけど、流石に大人が何人かつかないと旅行は難しくって窮屈な思いさせちゃうと思うんだけど......だめ、かな?」

ここでダメなんて誰が言えるものか。

「ダメっていったら白花は来ないのか?」

「ちょっと!?狐神君!?冗談だよね!?」

俺の発言に榊原が急いで止めに入る。他の人たちもまさかそこで否定する人がいるとは思ってもなかったのだろう。

でもどうだろう、実際白花がいないとこちらは動きやすいし、その警備の人とか式之宮先生の負担も減る。ああは言ってるが、白花自身も別にそこまで行きたいとは思ってないだろう。あれから白花なりに事務所の意向にはそれとなく逆らってはいると聞いたが、その結果がどうなったのか知りたい。

「意地悪だな~狐神君は。......ごめんね、結構行きたいから、できればご一緒させてほしいな。」

「そっすか。」

事務所の意向には逆らえなかったということか。けれどそれも仕方ないよな。政治もそうだが、芸能活動にも必ずお金がついて回る。それを一個人の感情で操作できるわけはない。そうなると大変面倒だが榎本からもらった指示に従わなくてはならないのか。まぁ今回はさすがに警備の人間もつくと言っているから大丈夫だとは思うが。その警備の人が実はやばい人だったなんてよくある設定とかいらないからな。

「まぁ深月が参加する以上、別に白花がいてもいなくてもあんまり変わらないだろう。」

「言い方......」


深月が加わってよかったこととして、あまり知られていないマイナーなお店の情報をたくさんくれた。仮にも世界に名を轟かすこの人がいうんだ。それを疑う人間など誰もいなかった。話す深月は少し困惑しつつも嬉しそうにも見えた。いくつかは京も大変興味が湧いたのか、自らの携帯にメモしている様子も見られた。

「う、宇野さんはどこか向かわれたいお店とかございませんこと!?」

前回同様に今回も宇野に果敢に挑んだのは嬬恋だった。きっと嬬恋は本当にこの旅行を楽しみにしているのであろう。その頑張りが無駄にならなければいいのだが。あとみんな見えないけれど、だいぶ五十嵐の顔怖いぞ。

「......そうだな。ここのお店の看板メニューなんていいなと思った。コースから少し逸れるから、いけるかは別だけどな。」

宇野の言葉に一同は安堵し、さらに話を進めていた。五十嵐は小さなため息をついていたがそれはあまり悪いものではないだろう。


「どうだった、久しぶりの学校は。」

「別に学校は週に1、2回は行っているのだけれど。まぁでも思ったよりも悪くはなかったわ。」

「それは何より。料理のことは水仙とか小原とか、芸能関係とかであれば白花とか。おすすめはそんなかんじか。」

「そう。」

何というか、別に俺は全然構わないんだが、先ほどみんなといるときと俺と一緒にいるときのテンションはだいぶ差があるな。まぁ少なくても性別は違うし、それによって価値観も違う。俺はあくまでサポートだから、必要がなくなり次第深月から距離を置いたほうがいいかもな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ