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青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
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旅鞄には甘いお菓子と少しのスパイスを 6

ちなみに体育祭を優勝した白組の4組と11組の景品は、1、3年生は学食3日分の無料化、2年生は修学旅行の往復の新幹線が他クラスよりひとつ上のクラスの座席に座れることらしい。それを聞かされた時に少しだけ羨ましい気持ちがあった。

まぁそれは置いておいて、修学旅行は控えてはいるがそれまで遊び呆けるという訳にもいかない。勿論修学旅行などにおいて生徒会が動かないわけがなかった。逆に去年なんかはほとんど大鵠さんが仕切ったようで生徒会が何をする必要もなかった訳だが。行先が決定した本日の放課後には集まりがあった。

「それで行先は京都に決まったはいいが、勿論京都全部を行動範囲にしてしまうと教員だけでは到底全てカバーは出来ない。かと言って人員も増やせないから、基本的には行動範囲の制限を設けることになる。以前の例に倣うとやはり観光場所が少ない場所にはいけなくなるだろうな。」

そして式乃宮先生が大きな京都の地図に行動範囲を円で書く。その僅かに外、京が行きたいと言っていたお店の場所があった。まぁ、今回はしょうがないと諦めるように伝えておくか。

「行動制限に関して、決して理不尽な理由でもないですし、少なくても私は納得出来るものでした。それは問題ないと思います。」

今回の話し合いには1年生、3年生の黒瀬、星川、橄欖橋先輩は参加していない。そして代わりに鶴と禦王殘、姫、戌亥が参加している。他のリーダー達も参加はしていないが、話題の共有は後ほどSNSで行う。行いはするが......。

「別に俺たちが集まる程のことですか?」

「俺もたかだか学生の修学旅行だと思うんですけど。」

俺と同じように戌亥も声を上げた。体育祭のように声掛けでもすれば良いのだろうか。それとも羽目を外す学生が出ないように学生間でも見張ってろといいことか。そこまで来ると最早俺たちは便利屋だな。

「実物を見てもらった方が早いよ」と樫野校長が言うと、式乃宮先生は少し躊躇いつつも何やら1枚の紙を見せてきた。それを俺ら7人が上から覗き込む。

『シュウガクリョコウヲチュウシシロ。サモナクバギセイガフエル。』

「修学旅行を中止しろ。さもなくば犠牲が増える。ほんとにこんなのってあるんですね......これはどこにあったんですか?」

「校長室の扉の下から入れられたんだよ。だからこれを入れた人は悪いけど分からない。」

成程、どうやら樫野校長の暇つぶしとかではないだろうな。もしこれを受け入れても問題となるだろうし、仮に受け入れなかったとしても、その犠牲者とやらが出てくれば更に問題となる。となると俺たちに課された使命は。

「勿論私も教師陣を探してはみる。大人の可能性もなくないからね。でもお昼の学校に入り校長室前まで来れる部外者なんていない。だから君たち優秀な2年リーダー達にこれを書いた人を探して欲しいんだ。君たちも修学旅行がなくなるのは嫌でしょ?」

実際修学旅行を楽しみにしている人は沢山いるだろうし、それがこんな理由でなくなるのは納得いかない人も多く出るだろうな。

「......狐神君はどう思う?」

隣にいた鶴から声をかけられた。どうと言われても、俺はみんなみたく頭がそんな直ぐには回らないから少しずつ整理してみるか。

「樫野校長が話した通り、時間帯場所的に学校関係者だと思う。確かに学校の中で人の目は多くあるけど、物を落としたついでにでも入れればいいからそこは何ら問題ないと思う。だから方法や時間からは推測は難しいかな。となると次は文章だけど、よくある古典的な切り抜きで文字があるから筆跡とかは無理っぽい。ただ気になるのは内容かな。特に犠牲が『増える』ってのが1番気になる。この言い方だと現状で被害を出してる人がいるってことだし、こんな問題になるものを用意するくらいだから犯人がミスした訳でもないと思う。当たるならこの犠牲と思われる人だと思うが......あっ」

しまった、なんで樫野校長や禦王殘、ノアや鶴がいるような環境で俺の推測なんて話してんだ。クソ、最近調子乗ってたからその勢いが抜けてなかったのか。不覚。

「......うん、私もそう思う。すごいね、狐神君。成長してるよ。」

「え?ほんとに?」

他の人の反応を見ても鶴と同じような感じだった。少しだけ俺自身の成長が出来たのかと嬉しかった。......嬉しかったが次のステップで躓いてしまう。

「でもその犠牲者と思われる人って誰なんだろうな。あれか?行先は京都に決まったが、その他の意見を出てた奴とか、一緒に行きたいと思ってた人と行けなかった人か?」

「それはないのでないでしょうか。そうなるとあまりに人数が多すぎますし、それでここまで逆ギレするような人はそういないかと。......いやまぁ今回のこの人も頭おかしいと思いますが。」

戌亥と姫の意見に首は振りつつも、しかしそれ以上のアプローチ方法が分からなかった。

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