下らない暇つぶし 2
バスケ、サッカー、野球、硬式、軟式テニス、バドミントン、バレー、卓球、陸上、弓道、剣道、水泳、新体操などの有名どころは勿論、アメフト、相撲、アーチェリー、ライフル射撃、少林寺、ボクシング、薙刀などの部活としては少しマイナーなところ、サーフィン、なわとび、フェンシング、ラクロス、フラッグフットボール、競輪など名前は知ってる程度のもの、フレスコボール、インディカ、アルティメット、クラヴ・マガなど最早何それレベルのものなどほとんど全ての運動部から来ていた。それはそうだ、自分の得意スポーツで初心者みたいなのに勝てば部費が上がると聞けば誰だって参加したくなる。けれどこれではあまりに人数が多すぎる。
そのためここはクジ引き方式で5つの部活を選んだ。
「バスケ部と羽付き部、ライフル射撃部、鬼ごっこ部、セパタクロー部、ですか。まぁ名前の知らないものがないだけマシですかね。でも鬼ごっことか羽付きとかってスポーツなんですか?どちらかと言うとお遊びって感じがしちゃうんですけど。」
「何事でも本気でやってる奴は遊び何か思ってやってねぇだろ。」
なるほど、確かに。遊びか本気かはその人次第か。にしても禦王殘はスポーツ出来そうだよな。この体格だもんな。そして多分ノアも出来そうだけど、他は……。
「てなわけで今度の週末ノアの家で合宿するぞ。」
瀬田会長の提案にみんな初耳のようで当の本人のノアも「は?」という顔。多分基礎体力アップとか何とかやろうとしてるんだろうけど、いくらなんでも急すぎる。
「そんな急に。ノアの迷惑も考えて下さいよ。いきなり5人押し寄せる訳には行かないでしょ。ねぇ?」
「別に可能ではあるけれど。いい別荘が空いてればの話しよ。」
またまたー、そんなまるで大企業の御令嬢みたいな事言っちゃって。そんな見栄張らなくてもいいのに。
「ノアちゃんの家は多国籍企業だから色んなところに家とか別荘があるんだよ。どうせなら俺はハワイとか行きたいなぁ。」
それはもう合宿というより旅行なのでは?
「そんな訳でお兄ちゃん今から出かけてくるよ。ご飯はいくつか作っておくけどちゃんと食べるんだよ?いつまでも寝てちゃダメだよ?お風呂入るんだよ?服着替えるんだよ?出かける時は鍵掛けるんだよ?歯をちゃんと磨くんだよ?ご「バタン!!」みは……」
ちょっとしつこすぎたか、話の途中で部屋を出て行ってしまった。まぁさすがにそんなに心配する年頃でもないか。むしろ誰も家にいなくて自由を謳歌しそうだな。それが怖いんだが。……こんな時親が居てくれたらな。
いや別に死んでるとか失踪中とかじゃないけど。
そんな訳で勢いそのまま合宿に突入。とはいえたったの2泊3日の為海外などは行かず日本で済ませる。
「山……寒……酸素……」
「……大丈夫?」
「鶴ちゃん、僕も寒いからその柔肌で暖めて欲しいな。」
「……カイロどうぞ。」
「素直じゃないなぁ。照れ隠しとして受け取っておくよ。」
体力アップなら運動をすることは当然として、効率を上げるためにも低酸素の方がいい事は知ってる。そして山ならオフロードも多いしそれがまたいい効果がある事も知ってる。でもここまでとはな。
都合よくノアの親戚が所有する運動施設があったので貸し切ったらしい。施設の中に入り軽く見た限りでも大体のものは揃ってた。とはいえじっくり見て回るとそれだけで半日くらいは使ってしまいそうなので早速スケジュールの確認をする。
各々出るスポーツに特化した個別練習と全員でやる集団練習に分けられて行う。担当のスポーツはバスケは交代も含め全員出るとして、羽付きは春風さんとノア、ライフル射撃は鶴と瀬田会長、鬼ごっこは禦王殘と俺、セパタクローは瀬田会長と禦王殘、春風さんという具合。
「あの、ご飯とお風呂と起床時間しかないんですけど。」
「それ以外は運動よ。」
「なんだって?」
金曜日夜、終了。
土曜5時半起床、ランニング5キロ30分以内。その後朝食を食べ個別練習へ。とりあえず慣れろと言うことで森の中をひたすら走りまくる。そして慣れたらウサギを捕まえられるくらいを目標にと禦王殘に捕まえたうさぎ達を返しながら言われた。勿論捕まえられるわけもなく5時間走り続けた。そして昼食。
「……あ……あ」
「……狐神君、大丈夫?」
「鶴ちゃん、僕も疲れちゃったよ。,」
「……湿布どうぞ。」
「恥ずかしがり屋だね、本当に。」
なんで2人とも普通に会話出来てるの?というか他の人も割と普通に過ごしてるし。何?俺だけ過酷なのやらされてるのか?やべぇ全くお腹にご飯入らない。でもエネルギーは取り入れなければ……。
昼からは集団練習という事でみんな体育館のような場所に集まりバスケの練習をした。走ることよりもボールに慣れるような練習をする。ドリブル、シュート、パス、ドライブ。午前の時と比べるとこちらの方がずっとマシだ。それからはフォーメーションやポジショニング、などの少し頭脳を使い、けれどやっぱりその後はひたすら走り回った。
夕方は少しだけ休ませてもらった。禦王殘には「休む?ざけんなぶっ殺すぞ」までは言われないにしても少しは言われると思っていたが「無理はするな。全力でやってる事くらいは分かる。」と言われた。その後禦王殘は隣山まで走っていった。