表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
340/606

狐神ロスト 2

そして時間丁度に今回招集した人物がやってきた。俺たちを見て何やらとても楽しそうな表情をする。

「ごめんね、忙しい時に。でもみんなきちんと来てくれて私はとても嬉しいよ。……視線が怖いなぁ。まぁいいや。実はみんなに今日大切な話があってね?まぁジュースでも飲みながら。」

「りんご?オレンジ?」と一人一人に聞き、冷えた缶ジュースを渡していく。正直いらない気持ちだったが、来る途中で汗をかいたため、水分は欲しいからりんごジュースを受け取った。

「……教育委員会にさ、もし体育祭で何か不祥事があったら、私解任させられるらしいんだよね。ヤバくない?ありえないでしょ?」

「……知らないですよ。」

鴛海の零した言葉はここにいる全員が思っただろう。なんでこんなクソ暑い中、休みの学校に来て先生の愚痴を聞かなければならないのか。

「知らないから話したんだよ!私以上に上手く立ち回れる校長いる!?確かに前の前の九条さんも凄かったけどさ、前の名前すら覚えてないあの人なんかクソザコナメクジって感じだったじゃん。嫌でしょ、またあんな校長が来たら?だからみんな協力して私を守ってよ。」

「……帰りたいのですが。」

代永の零した言葉にみんな同調する。そもそもここにいる人はみんな校長とか学校にあまり期待はしてないと思う。少なくても俺は何一つしてないから、別に校長が変わったとしても大して思うことは無い。

「否定しないってことはOKってことだよね!!よし「嫌なん「人が話している時に言葉を挟まない。じゃあ早速体育祭なんだけどね。」

戌亥の言葉は一瞬にして弾かれた。どうせ何を言ったところで言葉巧みに条件を呑まされることは分かってたし、俺からはもう何も言わない。


とりあえず校長の弁としては主に体育祭でよく問題になる事柄を予め知り、その事前阻止をしてほしいというものだった。そしてそれをわかりやすいように黒板に箇条書きにしていく。

「棒倒し、騎馬戦、……大玉奪い、落穂拾い、Sケン、竹取物語?前2つ以外全く分かんないんですけど。」

「みんなも棒倒しと騎馬戦は分かる?うん、じゃあ大玉奪いから説明していくわね。」

普通に上手いイラストで樫野校長は説明していった。

大玉奪いは簡単に言えば棒倒しの大玉バージョン。違う点としては棒倒しのように登ったり棒を倒す必要はなく、玉を押して自陣まで押していくこと。ただ、毎年玉に押し潰されたり、弾かれたりして怪我人が出る。勿論接触プレーもありなので普通に怪我をする人もいる。

落穂拾いは玉入れの際に使われた玉をトングで拾って背中に背負った籠に入れる競技。勝敗は拾った玉の数によって決まるが、玉は数が限られており、ある程度集まったら拾うよりも相手とぶつかり、相手のカゴから玉を落とさせる。一応殴る蹴るといった暴行は厳しく禁止されているが、多少の接触はOK。

SケンはSとラインで書かれた丸い部分の内側をそれぞれの陣地として、ドッチボールを行う。ただ中の人はケンケンでのみSの切れ目から出ることができ、好きな場所からボールを投げることが出来る。相手のSの切れ目から侵入することもできるため、陣地内に入り、ゼロ距離からボールを投げることもできる。但し自陣を出た際は必ずケンケンで自陣まで戻らなくてはいけない。もし両足着いた場合はその時点で失格。また、自陣にケンケンで来た人から投げられたボールを取って、攻めてきた人に当てることもできる。けんけんの為、足を狙われると基本取れない。

竹取物語は女子版の棒倒しのようなもの。真ん中に横たえられた12本の竹をスタート合図が鳴ると共に駆け出し自陣へ奪うゲーム。ただ、スタート位置は竹からトラック100m離れており、力が強いだけのチームを集めても速さがないと着いた時には全部取られているということもあるため、速度と力を上手く分散させないと行けない競技。

「こんな感じかしら。」

「みんなストレス溜まってるんですか?」

「あんまり暴力的なのは良くないけど、男子の血気盛んな姿は意外と女子受けいいものよ。」

「そうなの?」

近くにいた鶴と貓俣に声を掛ける。

「……私はそこまでは。でも何となく気持ちは分かるよ。オリンピックみたいな。」

「そうねー。あともしかしたら、本能的に強い男の人を好むからじゃないの。」

まぁ俺もサッカーとかの白熱した試合とか見るとテンション上がるしそういう感じだろうか。ボクシングとかレスリングはもう少し過激なことが好きな人が見るみたいな。本能的な話となると俺にはもう分からない世界だな。

「ここで男見せればいい感じかもよ?」

ニタニタした樫野校長が俺を眺めながらそんなことを言う。正直この面子が揃ってる時点で俺の活躍の場なんてないだろうし、活躍出来たとて、俺には別に好感度を上げたい女子はいないんだよな。いや、下げる気は毛頭ないが。

「禦王殘君とか兜狩君とか戌亥君はいるもんね?」

樫野校長の煽りが止まらない。しかし禦王殘は姫、戌亥は貓俣というのは分かるが、兜狩は一体誰なんだ……。クラスの人とかかな?

「狐神君も自覚ないかもしれないけど、多分気になってる子、いると思うけどなー。」

悲報、俺氏気付かぬうちに想い人がいるらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ