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青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
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12の箱 11

結構話してんな。

そう考え始めた頃、まるで今まで縛られていたように黒瀬君が解放されたかのように後ろに飛び、大鵠さんから距離を置いた。必死に耳を抑え酷く怯えるその姿にさすがにこれ以上黙ってる訳にはいかなかった。

「狐神君、僕は君を認めてるんだよ?だからあんまり失望させないでくれよ。」

2人の間に入ろうとしたが、黒瀬君は俺が近づくと何故か俺にもビビったように勢いよくそこから逃げ出した。

「……何を言ったんですか?」

「別に?真実は確かに伝えたけど、その後しっかりフォローはしたよ?君は悪くないよって。でもさ、狐神君もさ、水仙さんの冤罪の件覚えてるよね。君がいう君の中の下らない正義感のせいで色々ごちゃごちゃになったこと。狐神君が後輩が出来て嬉しいのは分かるけど、その軽い気持ちで彼をあんまり見ない方がいいよ。今回俺は本当に真実しか伝えてないからね。狐神君の悪い癖だ。少しでも自分に非があれば100パーセント自分のにしてしまう。それじゃあ相手は付け上がるばかりだよ。」

「何か今日は嫌に先輩らしいですね。」

「少しだけど真面目にイラついたからね。まぁもういいや!!それなりに楽しめたし俺はここで!じゃ!」

本当に嵐のような人だな。でも確かに黒瀬君の表情的に更に俺への憎悪を高めるというより、何となく自責の念の増幅って感じだったな。いずれにしても退会とかやめてくれよ、樫野校長からお咎めを何となくくらいそうだし。


「結局俺が荷物運ぶんかーい……」


生徒会室に戻ると案の定そこには黒瀬君の姿はなく、橄欖橋先輩以外が微妙な視線を俺に向ける中、ノアが事情を話してくれた。

「大鵠先輩がさっき来てね、黒瀬君に全て事情を話したそうなの。黒瀬君はそのちょっと前に荷物だけ持って帰っていったけれど。勿論あなたが気に病む必要は無いけれど、もしかしたら黒瀬君は生徒会を辞めるかも。」

まぁ、そうか。

「辞めればいいんじゃないですか?」

冷たくそう言い放ったのは黒瀬の同期の星川だった。

「仮にも私たちは生徒の代表です。それがあんな心の弱い人に務まるとは最初から思ってませんでした。」

「最初から黒瀬の事情を知っていたのか?」

兜狩の言葉には少し力が入っていたが、星川は全然気にしている様子はなかった。

「全てではありません。でも何となくの事情は察してました。私は先輩たちみたく頭が切れるわけじゃないですから。狐神先輩は除きますけど。」

「わざわざ注釈しなくても分かってるよ。したらそろそろ星川も俺を嫌う理由を教えてはくれないか?案外星川も勘違いかもしれないし。」

「ムッフー、いいですか?何かしら秘密があった方が乙女はさらに可愛いんですよ?」

「……お前は可愛くはな「何ですか?「可愛くないと思う「驕り高ぶる言動は控えろ野猿。」」

とりあえず今言うつもりはないってことか。どうしようか、あんまり警戒心が強いとさすがにやりづらい。誰かを間に入れて話し合いをしたいけど適任がいないな。一瞬こころが過ぎったが、過激派だしな。流血沙汰になったらたまったもんじゃない。


翌日にはテストの結果が出た。講師陣の採点速度ヤバすぎだろと思ったが今や時代は進み、大まかな採点はデジダル採点システムというものに任せているらしい。字が汚かったり、識別が困難なもののみ弾かれ人間の目で見るらしい。しかしそんなものはほとんどなく、実際は機械がフル稼働で1800人×11科目を見る。こうなってくるといよいよロボットに置き換わる時代も遠くないのかな。教師が感情の持たないロボットというのはどうかと思うが。

まぁそんな不気味の谷みたいな話は置いておいて、早速特権を得られるクラスを生徒会のメンバーという理由で謁見することが出来た。

「へぇ。」

兜狩達のクラスでなかったことには少し驚かされたが、納得いくところも多くあった。恐らく2人が協力すれば兜狩達も引けばとらないだろう。噂話は俺の耳にも届いていた。

「どうですか!?驚きましたか狐神さん?私の手腕に恐慄(おそれおのの)きましたか?」

「もうこんなことしねぇからな。」

「別に恐慄きはしないけど、禦王殘が協力したのは意外だった。」

俺の言葉に対して禦王殘はバツの悪そうな表情をする。それとは対比するように姫は更にドヤ顔をする。それだけで何となく事情は察した。禦王殘は案外尻に敷かれるタイプなんだな、なんて言ったらぶっ殺されそうだな。

「まぁ特権は別に貰って困るものでは無いだろうし、ありがたく使えばいんじゃないか?」

「なんて言いつつ悔しそうですね。今回狐神さんのクラスは一致団結しようとして頑張ろうとしていたのは聞き及んでいます。何人かは協力しなかったようですが。」

テスト後に知った話だと、今回協力しなかったのは斑咬、羽鳥、小淵。他にも協力はしなかった人はちらほらいたが、別に足を引っ張る点数を取ったわけではない。だけどきっと問題はそこじゃない。

「今回の件を機に校長先生はクラス単位での活動を啓発するかもですね。体育祭文化祭エトセトラ。その時に多分1番不利なのはあなたのクラスですね。明確なリーダーがいないと誰も誰に従えばいいか分からないですからね。」

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