表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
302/594

止まらない怨嗟 17

「すまん。風呂空いたから入っていいぞ。」

「ん。あぁそういや兄の友達名乗る人間がいたから部屋に案内しておいた。」

え、待ってそれ本当に兄の友達?言ってて悲しくなるが兄は本当に友達はあんまり多くないよ?しかもアポなしで来るなんて恐怖でしかないんだけど。

「でも案内したって、此方の対人スキルも上がったな。」

「おうよ。此方ちゃんやればできる子だからな。」

「じゃあできる此方ちゃん、今俺の部屋にいる者の名前はなんという?」

「さぁ?でも男性だったよ。」

全然できないじゃないか。

「とりあえず110と。」

「やめい。公務員さんに迷惑をかけるな。」

「いや迷惑かける原因はお前だよ。」

いくら此方と言えども明らかに不審な人とかは入れないだろう。白花とか小熊とか見てるからうちがどんな制服かも分かるだろう。

さて、部屋の前に着いたが特に中から物音はしない。覗き穴なんてものはないからそれ以上の情報はない。これ以上粘っても得られるものはなさそうか。

仕方なくノックを2回すると向こうから「はい」と短く声が聞こえた。その声で誰かわかったのでとりあえず一安心。しかし次になんでという疑問も湧いてきた。

「どうした、深見?」

「あぁ、すまないな。家の前でどうしよかと迷っていたら妹さんが入れてくれてな。具体的に要件があるのは俺ではなく……」

そこで廊下のトイレから音がした。深見の言葉からしてももう1人この家には誰かがいるようだ。そしてそのすぐ後に俺の部屋に入ってきた人に少しだけ驚いた。

「……は?」

「すまないっす、今はうちの生徒じゃない深見にも、今日迷惑をかけたばっかの狐神にも頼める筋合いがないのは重々承知。それでもどうか話だけでも聞いて欲しいっす。」

「聞くわけないだろ、今すぐ出てけ」と言い放ってやりたがったが、深見から何か意味深な視線を感じる。ここで追い返しているのを母さん達にもし見られるのも良くない。甚だ癪だが話だけは聞いてやるか。

「……深見に感謝しろよ。」

「あざっす!」


「掻い摘んで話すとだな、樫野校長?って人に不和達が会った。そしてこいつはたまたまその席にいなかった。そしてそれ以降、度を増して不和達の狐神達への行動が苛烈となっていった。まるで樫野校長に洗脳でも受けたようなみたいな感じらしい。」

「なんスよ……。確かに俺らがしてきた事は酷いことっす。でも2年になって冤罪も晴れて、『一時はもう手は出さない』みたいな事を言ってたのに、あの校長とやらに会ってから一気におかしくなったっす。……あんなのは俺の知る不和さんじゃないっす。」

ようは若干暴走しかけてるのか。今となっては俺よりも不和の方がクラスカーストも低いだろうし、樫野にとっては邪魔だからどうにかして消したいのだろう。そこで俺を利用する訳か。

「……」

「思うことは色々あるよな。俺だって今は普通に話をさせてもらってるが、過去に酷い事をしたんだし。」

「いや、その事はもういいけど、何か今回は樫野校長らしくないんだよな。確かにあの人は常軌を逸してることもあるけど、それでも今回のは少し違う気がする。同じクラスメイト同士潰し合いを望みはしないと思うんだよな。」

とりあえず明日辺りに樫野校長へ直接話を聞きに行くかな。こいつの言っていることを信じるつもりはないけど、確かに不和の動向は気になるところではある。こいつは見た感じかなり下っ端感あるけど、貴重な敵戦力の情報源でもある。鵜呑みにはせず、でも参考がてらに聞いておこう。

「で、高橋だっけ?」

「高梨っす!高梨 力哉(りきや)っす。」

「そうか。で、深見から見て高橋はどんな人物なんだ?率直な意見を聞きたい。」

高橋は少し気に食わなさそうだったが、立場は分かっている様だ。そもそも俺なんかに頼る程だ。余程周りに人間がいないのだろう。

「高梨は……まぁ簡単に言えば絵に書いたような下っ端キャラだよ。俺がいた時からそれは変わらないと思う。成績は可もなく不可もなく、目立つのはその口調くらいかな。」

「ありがと、じゃあ高梨、なんで樫野校長に呼ばれた時にお前だけは行かなかったんだ?まさか他に友達でもいるのか?」

「なんかさっきっから言葉が鋭くないっすか?まぁいいっすけど……。その時は確か遠井先生に呼ばれてたっすね。提出物を出し忘れてて。」

確かそういや前に進路予定表を出したな。確かそん時に誰か呼ばれてたし、あれが高梨だったのか。てことは多分こいつの言は間違ってはいないのかな。こいつが怪しいのは違いないけど。

「じゃあ次は不和が言っていた事の真偽を確かめたい。俺を退学にさせるために、榊原や周りの連中に手を出すって言っているのは本当か?それともただの脅しか?」

流石にこれは本当か。じゃなきゃわざわざ家まで来ないだろうし。

勿論答えはYESだった。

そうしたら次の質問。

「俺や深見を呼んで、高梨はどうしたいんだ?不和に正気を戻させて俺を引き続き虐めるか?みんな仲良しに戻りたいのか?不和には付き合ってられないから退学にさせたいか?それは酷いからこれを機に距離をおきたいか?それとも不和の座をぶんどりたいか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ