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青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
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止まらない怨嗟 15

にしてもどうも最近不和たちの動きが活発化してる気がする。樫野校長から退学のボーダーが低くなったからと言って、それは自分たちにも適応されることは流石にわかっているよな。そうなると多少横暴しても許される何かがあるのだろうか。擁護とか抹消とか。少し気になるが、生徒会のこともあるしあんまり時間は割きたくないな。

「梶山にはなにか聞いてたり、心当たりはないか?」

クラスの男子事情においてならこの男に聞くのが一番だろう。そして勿論その対となる鏡石にも本坊あたりの話は聞いた。けれど帰ってきた言葉は「知らんし」の一言。本当にあいつは非協力的というか、白花と関わりがなかったら全く協力する気ないな。

「なんとなく僕も退学のボーダーの件は聞いたことあるよ。でも噂も噂、信じてる人なんて誰もいない。だから正直不和君たちがあそこまでその話を信用している理由がわからないんだよね。」

樫野校長が直々に不和たちに情報を与えたからかな。でもわからない点としてはどうしてあんな連中に樫野校長が情報を与えたかだよな。横暴な態度だけなら橋本とか、頭脳派なら夏川とか、サイコパス的なら壬生とかを持ってきた方がいいと思うけどな。強いてあげれば俺のクラスにおいて未だ明確に敵意をもっている集団だからとかだろうか。

「何か気づかないところで不和君たちを怒らせちゃったんじゃないの?」

「記憶にございません。」

「なんか友達とかに不和君の悪口を言っちゃったとか。」

「記憶にございません。」

「.......じゃあ例えば、誰かが狐神君の名前で不和君たちに何かしたとか。」

......なるほど、確かにそれは可能性としてはありそうだな。あまり考えたくはないが、不和が活発になったのはここ最近。2、3年生であれば俺が冤罪を解決しているときに十分阻害することはできた。わざわざ不和たちを利用しなくても十分に攻撃できそうだな。そして1年生でそこまで俺を憎んでいる人物。

「あいつらかな......」

「検討ついたの?」

「いや、9割9分当て感に過ぎない。でもあるとするならばあいつらっていう人はいる。」

生徒会からとクラスからとダブル攻撃は流石に少し応えるものがあるな。というか不和も騙されやすいな。今ちょうど苛立ちが頂点だからいつもより短絡的になっているのかな。しかしどうしたものか。別に何かこちらから動いてもいいけれど放っておいても向こうが勝手に自爆するような気もする。あまりに行き過ぎた事は退学の対象になりかねない。

「俺から不和に聞いてみても正直答えてくれるとは思えいんだよな。だからちょっと梶山、頼まれてくれないか?」

「別に構わないよ。不和君達に何を聞けばいいのかな?」

ホントこいつは表面はマジでイケメンだな。頼めば何でもしてくれそう。

「とりあえず『狐神に最近何かされた?』みたいな感じで聞いてきて欲しい。」

「了解。あ、そしたら……」


「ダ、ダメだったよ…」

「は?つっかえな……」

「ごめんね……あんまり力になれなくて。」

「あー、もう喋んな。消えろカス。」

「んんッ……」

……嫌だなー、いくら梶山の交換条件とはいえ、話を聞けなかったら思いっきり罵倒して欲しいなんて。仮にもこちらは頼んでいる身なのに。

「……もういいか、正直こっちがキツいんだが。」

「うん、ありがとう。白花さんみたいに理不尽に殴ってくれても良かったんだけど、そこまでは流石に難しいよね。」

「そんなの誰かに見られたら終わりだろ。」

「そのドキドキが堪らなく愛おしいと思うんだ。」

しかしこうなると直接本人らに話を聞くしかないか。とはいえ黒瀬と星川はあくまで可能性の話。変に訊いてみて不信感を持たれるのは良くない。それならば死ぬほど嫌だが不和達に直接話を聞いた方がいいか。


そんなわけで何とか約束を取り付けることができた。向こうも嫌がることなどせず、むしろ嬉々として話を進めてくれた。向こうが何を考えているかはそう難しくはなかった。

場所は旧校舎。ちょっと前までは七不思議とかで恐れられていたが、逆に言えばそんな噂話で誰も寄り付かないのはこいつらにとっては最高の舞台となるだろう。不和と本坊をリーダーに男女7人くらいがそこにいた。

「早速だけど、お呼び立てした要件は最近のみんなの動向について。確かに前学年の時とかは冤罪のせいで全校生徒からボコボコにされていたが、新学年になってそれもほとんどなくなった。お前らを除いて。退学のボーダーが低くなって所謂暴力行為がしにくくなった現状、それでも俺や榊原に手を出し続ける理由を教えて欲しい。」

様子を見るにほくそ笑む不和と本坊以外はあまり詳しく聞かされてはいないらしい、とりあえず不和に従うといったところか。

「てめぇ深見とまだ関わりがあるらしいじゃんかよ。」

「え?……あぁ、少し前はな。今は榎本のマネージャーとして頑張ってるらしいな」

正直話題が全く予想だにしていないところから湧いてきたので驚いた。それは今ここで関係のある話なのだろうか。

「そうらしいな。榎本ってのも芸能人だから流石に俺でも知ってるわ。んでよ、それでこの前深見と会ったんだよ。久しぶりだからよ、ちょっと雑談でも思ったんだがな?あいつお前の事ばっか話すんだよ。」

「……イマイチ話が見えてこないんだが。」

「あの野郎ずっと俺に対して『狐神を虐めていた事を謝ってくれ』って聞かなくてよ。最終的にはあまりにうるせぇからぶちのめしたが、その後もメールとかでしつこくてな。その憂さ晴らしだ。許せ。」

深見も別にそんなこと気負わなくていいのに。まぁこいつの動機なんて大したことないだろうとは思ってたからいいけど、知りたいのはそこじゃない。

「動機は分かった。でも退学するリスク負ってまですることではないだろ。なんからの方法でそのリスクを回避出来るのであればそれを知りたい。」

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