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青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
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最後の証明 6

ますます俺を誘うように妖艶に自ら大きな机の上に仰向きに寝そべる。股を広げ、ボタンを3つほど外す。

なるほど、これなら勝負は白花の勝ちだな。俺を一人この教室に呼び、こいつが服を脱いだ時点で俺の負けは確定したわけだ。誰かがこの教室に来ても、俺が誰かに助けを求めてもきっと俺よりも女子である白花の言葉が信用されるだろう。誰が超アイドルが一般男性生徒を前に服を脱ぎだすなんて信じようか。そういうのがお望みであれば斑咬なんてお誂え向きだが、実際俺のクラスカーストはぶっちぎりで最下位。白花の目的に俺が狙われるのは自然てわけか。

「少しくらいならいいよ?私はあなたのことを騙すわけなんだし。どうせ捕まるのであれば実際に犯した方がいいんじゃないの?」

「......そうだな。俺も多少ならいいか。」

「わぁ......思った通りに「お前がアイドルになった理由なんて、くだらないことだぞ。」......え?」

「お前があんまり露出の多い服を着ないのは、お前が恥ずかしがり屋だからじゃない。その腹に大きく残っている生々しい傷があるからだろ。まるで何かが貫通したような。」

「な、なんで......。お腹のことは両親しか知らないはず。」

明らかに動揺していた。それはそうだ。こいつからしてみれば誰にも知られずに過ごすていた秘密がまだ2カ月ほどしか経っていない変態クラスメイトが知っているのだから。


その時だった。

廊下からけたたましい悲鳴が聞こえた。振り返るとそこには2名の女子が俺と白花を交互に見ながら、やがて急いで駆け出して行った。きっと職員室とかに向かったんだろう。今から俺が走っていって捕まえたとしても、説得は無理そうだな。

「なんてタイミングの悪い......」

独りごとを言いながら白花に近づく。先ほどまでの何もかも諦めたような顔から、恐怖心やそれ以外の感情も見て取れた気がした。

......悪いな、俺はお前を笑顔にするどころか、怖がらせることしかできない。でもお前には俺と違って何もかも諦めて自分を捨ててほしくないんだよ。たとえお前が昔とは変わってしまっても、お前が俺のことを大嫌いになっても、俺はお前のことを応援しているから。

あいつらがいらん連中を連れてくるまであまり時間もない。ここで白花に伝えておかなければいけないことを伝えなければ、もしかしたらもう一生白花と話すもできなくなるかもしれない。

覚悟を決めた俺の目に何かを察した白花は急いで逃げようとする。しかしここで逃がすわけにもいかない。距離を詰め両手を掴み、上体も乗せて身動きを封じる。

白花の目には涙があふれていた。しかしそれに動じている時間はない。すでに廊下からはたくさんの足音が近づいてきてる。

「俺がお前にできることだったらなんだってする!!雑務やストレスの発散だってなんでも!!さっき言った秘密も絶対に他人に話さない。だからもう少しだけ諦めないでやってくれないか?お前の今の姿が、ある女の子の努力の賜物なんだよ!!......頼むから。」

直後、俺は後ろから来た体育教師に背後から取り押さえられた。「今すぐ離れろ」「何してんだ」「どうやって入った」白花は女の教師に保護され上着をかけられていた。その目には変わらず涙が浮かんでいたが、前よりも澄んで見えた気がした。そして俺に向かい唇がそっと動いた。

『......わかった』

俺にはそう聞こえた。



「まぁこんな感じです。言っておきますけど、あまりにも詳しいことはちょっと覚えてませんよ、なんて言ったって9カ月ぐらい前のことなんですから。」

これでは白花が完全に痴女みたいな感じになってしまってるがしょうがない。これが一般の生徒に知れ渡ったらどうなるかわからないけれど、この人がいたずらに言い触らさないことを信じるしかないかな。

「話を聞いた感想としては、白花さんが狐神君に守られている印象を受けたな。仮に生徒に信じてもらえなくても、腹いせにでも情報を流すことはできた。そうすれば白花さんをただでは済まなかっただろう。君は過去の白花さんのためなんていい訳しつつも、今の白花さんのことも大好きに見えるが?」

「そんなことないですよ。で、犯人についてですが、俺が適当に決めていいんでしたっけ?」

誰がいいかな。本坊とか不和とか橋本とか何人か候補はいるけど、斑咬でいいか。あいついても邪魔しかしてこないし、別にいなくなっても誰も困らないだろ。

「いや、それはやっぱりなしで。」

「......変わらず俺が犯人ということですか。」

「うん。別に君以外の人間を犯人にすることは可能だよ。でも狐神君と白花さん以外の人間も関与してそうだなと。その人物を君に探してほしいなと思ってね。」

9カ月も前の事件を解決なんて難しいといったのはあなたでしょう。

「ちなみに拒否権はない。もしできなければ報酬をチラつかせた私の有能な部下が君を退学に追いつめる。」

「なんか難易度上がってません?」

「そんなことはないよ。私にだってなんとなくの筋道は見えてるんだから。」

出たよこの学校あるある。一部人間が有能すぎる件について。


結局そのあとは追い出されるように校長室を出された。『次に会うときは答え合わせの時だよ』なんて言われたけど、まったく何をどうるればいいのかわからないのだが。

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