表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春敗者は戦うことを選ぶ  作者: わたぬき たぬき
18/592

一進一退 5

「白花さんがいるんだからやっぱりここに来る人の何割かはそれが目当てだと思うんだよな。だから俺はメイド喫茶を提案する。」

「確かに私もメイド服とかちょっと着てみたいけど、それって私ら前座ってことじゃん?それに何かそれだと小石ちゃんを利用してるようでなんか嫌。」

案を一つずつ絞っていった結果、パンケーキ屋かメイド喫茶が残った。うちのクラスには白花という兵器がいるから何をしてもある程度は結果は出るだろうが、それだと他の人がどうしても霞んでしまうのも必然。そこの微調整が難しい。ちなみに俺は集客用マスコットで決定。顔も隠れる、話さなくていい、そこら辺を歩けばいいだけの簡単な仕事。死ぬほど暑いけど俺に人権はない。

「じゃあこういうのはどうだ!?」と吉永が叫ぶ。この吉永というのは入学したホントの最初、俺と仲良かった人物だ。今となっては話もしない。とはいっても当初もとりあえず話し相手として必要だったと言うだけだったが。俺の1つ上らへんのカーストに存在。とても遠い1つだが。

『天使のアイドル白花小石vs魅惑の女子高生

小石ちゃんとクラスの女の子があなたを巡って争奪戦!?誰が1番良かったかを決めて投票してね!クラスの女の子全票と小石ちゃんの票数で本物のメイドが決する!!女の子達による熱い戦いに勝つのは果たして!?coming soon!!』

きも。

「ちなみにメニューにはパンケーキも。そしてクラスの女の子が勝った場合、その中で最も票数が多かった子をレジェンドオブメイドとする。」

きも。

「小石ちゃん応援し隊」という公式グループのアイテムのリストバンドを高らかに挙げ言い放った。

きもい。

「んー。吉永はちょいキモだけどそんな感じでいんじゃね?このくらいのハンデないとあたしらもお膳立てて終わるのみえみえだし。あとは小石ちゃんからOK出ればだけど。」

最後のをみんな懸念し、あまり浮かない顔をしている。けれどその心配は全くもっていらないだろ。相手はあの人気アイドル白花小石だ。期待に常に応え続けなければいけなく、自分というものは一切ない、周りの期待から出来上がる。それがあの偶像だろう。

扉が開き、みんなの視線が一気に集まる。やはり白花は笑っていた。

「いいよ!面白そうだし、私もフリフリのメイド服着てみたかったんだ!!」

……気持ちの悪い。


やる事は決まったので生徒会の一応役員の俺に書類を丸投げすると早速準備が始まった。生徒会の方はというとやる事はだいたい終わっており、各々クラスに尽力して欲しいとの事。また必要になったら呼ぶらしいがそれまではこの教室にいなくてはならない。ぼっちには自由時間が大敵なんだよなぁ。

携帯でもポチポチしてようかとポケットに手を突っ込んだところで意外な人が寄ってきた。

「ちょっと。」


下地の材料探しに大きな駅前のショッピングモールに来た。クラスのみんなはどうせなら自分たちで服から作りたいと意見を交えている。

絹綿は最初から俺がいないのではないかと思わされるほどクラスメイトの永嶺(ながみね)と話している。そろそろ誘われた理由を聞いてもいい頃だろうか。

「……何こっち見てんのよ。気持ち悪いわね。」

「丁度振り返ってくれてよかった。俺が呼ばれた理由を訊いてもいいか?まさかみんなで仲良くお買い物なんて可愛い理由じゃないだろ。」

「……ねぇひかりん、この人本当に気持ち悪いよ。警察いこ?」

呼び出されてついてったら事案とか日本は厳しいんだな。この永嶺って人ふんわりしてるけどやはり俺ににもふんわりなんてしてくれないよな。

「まぁ荷物持ち、買い物の立て替えとかよ。あと、あんたこの子の名前知ってる?」

「永嶺さんじゃなかったっけ?」

「わ……私のプライバシーが侵されてる。私、犯されてる。」

なんかおかしくない?

「紗都美はあんたが今いる生徒会の庶務に立候補して落とされたのよ。……だからあんたに当たるって訳じゃないけど、どうやって入れたかだけ教えろっての。」

別にどうやって入ったかって言われても、特に大したことはしてない気がする。勉強も頑張ったが俺より頭のいい人だって沢山いるしな。人望は言わずもがな。

「……俺もよく分からんが多分面白そうだからって感じじゃないか?」

「ひかりん、この人全然使えないよ。電話のシャープボタンレベルで使えないよ。ジーパンのポケットの中の小さなポケットレベルで使えないよ。」

「あの永嶺さん?」

「うわっ。目が合っちゃった。私の視神経から脳細胞にかけてこの人何かのために働いちゃった。」

でも何となく違和感がある。俺が生徒会に入ったのは6月。新年度が4月に始まったとしてその間の2ヶ月、生徒会の庶務は不在立ったのだろうか。こういうのはあまり詳しくないが多分新体制に変わる4月で完全に決まるのではないだろうか。

「生徒会の庶務の席には元々誰かいなかったのか?」

「いたらわざわざ沙都美が立候補なんてするわけないでしょ馬鹿じゃないの。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ