集いし強者 5
まぁそんな簡単に事が進むなんて思ってない。
一応事前に俺と禦王殘で視聴覚室に盗聴器やカメラが仕掛けてなかったか確認したり、カーテンなどを締め切って外から見えないようにはした。けれど俺らが視聴覚室に出入りしたところを見られてないとも限らないし、何よりスパイがいても何ら不思議ではなかった。その事を踏まえ、今後は行動していこう。
その後の話し合いはとても短いものだった。それも当然といえば当然で、各リーダーが全員長時間集まって話し合っていてはその分リスクは高まる。あの後に連絡先だけ交換して終わった。そして極力文として残るメールは行わず、電話か人がいなさそうな所で直接会って話すことになった。
今回のこの集まりにできれば永嶺と鶴も呼びたかった。二人とも俺なんかよりもスペックは上だろうし、何より永嶺に至っては明確な大鵠に対する恨みがある。事情も知っているだろうし絶対戦力になると思う。
翌日の昼休み、連絡を取り合って鶴、永嶺、禦王殘で集まった。
「正直戦力はたくさんあったほうがいいと思うし、2人は信頼に値する人だから入れたほうがいいと思うんだけど。」
「俺があの集まりで求めた条件は2つ。大鵠に反抗しようと意思もを持つ者。事情を知っている上で、適切な判断と行動ができる者。後者はお前は微妙だが、まぁギリギリセーフってとこだ。2人は条件を満たしているとは思うが、クラスに1人インフルエンサーが居りゃ足りる。ま、本人の意思を聞いとくか。」
2人とも少し考えた後、先に話し始めたのは永嶺だった。
「ん~、私はやめとこっかな~。私を高く買ってくれるのは素直に嬉しいけど、ちょっとメンタルに自信なくてさ。この前も『結果はどうあれ、人の恋愛にあんまり足突っ込むなよ。』って言葉に何にも言えなくなっちゃって。『その通りなのかな?』って沈んでたし。」
「そう......か。」
でも確かにそう言われちゃうと俺もなんて言い返していいかわからない。第三者から「あなたの好きな人は碌な人間じゃないから関わらない方がいいよ」なんて言っても本人としては納得できないだろう。だったらトラウマになるような酷いフラれ方でも、きちんとフラれたほうがいいのだろうか。
「そ~んな落ち込まないでよ、狐神く~ん。......君は本来私を憎んで当然の人なんだよ?そんな人間がおんなじ場所に立っていいわけないじゃん。その優しさに甘えたら......私は本当にダメになっちゃう。」
悲しそうな顔で俺の肩を軽く叩いた。
そう本人が言うのなら仕方ないのだろうか。俺は別に永嶺の事など恨んではいないのだが、きっと本人の中で罪悪感というのがあるのだろう。それは俺があーだこーだ言って解決出来るものではないだろうな。
「......私も、遠慮しとくね。兜狩君がいれば私なんかいらないし、あんまり多くの人が関わるとその分情報も漏れやすいし。」
何となくそう言う気がしていた。......鶴はずるいと思う。そんな哀愁に満ちた目をされれば何も言葉が浮かばなくなってしまう。何か言おうとしても躊躇って言えなくなってしまう。
だから今回はちゃんと考えてきた。鶴の目を見てしっかり伝える為に。見たくないものから目を逸らさないように。
「俺は鶴と一緒がいい。」
「......え?」
少しは冷静になればいいものを、『私なんかいらない』なんて言葉に多少の憤りさえ覚えた。
「情報が漏れやすいなんて、もう鶴がある程度事情を知ってる以上あんまり変わらないだろ。......なんだよ、私なんかいらないとか。俺をドン底から救ってくれて、助けを呼べば何度も手を伸ばしてくれて、そんな人がいらない訳ないだろ。......俺の方がよっぽど鶴の優しさに甘えまくってるダメ人間だ。」
わがままだと思う。助けて欲しい時には子供のように助けを乞い、向こうが断っても強引に誘う。やってる事は小学生レベル。そのくせ図体ばかり大人になっていく。さらに子どものような純粋さはないときた。薄汚れた、小さな、大人。
「......でも、『友達』になら望んでもいいのかな。」
友達なんか高校に入ってから出来なかった。作り方なんて忘れてしまっていた。でも思い出せた。簡単だった。
「友達の作り方て、お前。小学生じゃないんだからさ。」
「分かってるよ。でも色んなことがあってしばらく人間不信だったから。」
「ま、彼方が友達を欲しいと思えるようになったってことでいいか。.......まぁよく聞くのは『友達は作るものじゃなくて勝手になってるもの』っていうのは聞くよな。」
そりゃそういうのも勿論あるだろうが、俺みたいな人間からすれば『俺がそいつを友達と思ってただけ』って思ってしまう。だからこそ太陽の時みたいな二人で困難を乗り越えた、みたいなちゃんとストーリーがあったほうがずっと安心できる。......我ながらめんどくさ。こんな重いのと友達になりたいなんて人いるのかな。
「そもそも『友達が絶対できる方法』とか『絶対に彼女ができる方法』とかあったらみんなそれをやってんじゃね?俺だって欲しいわ、そんなのあったら。あくまで世の中にあんのは参考書とかそんなんだろ。どんな本読んだって、ネット漁ったって『絶対』なんてない。」
「......そうだよな。」
そう思うとお互い確かめ合ってないのに『こいつは最高の友達だぜ』とか言える人ってすごいよな。まぁ他に誰も友達がいないのなら話は別だけど。
「そんな迷える子羊に私からすんばらしい託宣を与えよう。」
「神かよ。」
「おうよ。初回サービスで500円な。」
「ガチャじゃん。」
「はい、いただきました。」
「中継じゃん。」
「ま、あれよ。その人を友達と思いたいなら、信じるところからはじめてみな。」




