表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
三章 群体悪霊
83/1638

7



「結構旅してきたけど、まだ首都につかないね」

「基本的には誰かさんがいろいろしてたせいっすけどね」

「……ロムニルが道を外れて面倒を招かなければもっと早く来れたと思うのだけど?」

「はは……リーリェは僕がどうして道を外れて様々な行動をしているのかわかってくれるだろう?」

「わかるけどね……」


 基本的に公也たちの旅が遅れている最大の要因はロムニルの様々な行動のせいである。それ自体が損しか生まないわけではなく、様々な形で得な出来事もあるわけだが、やはり当初の目的からは外れているわけである。まあ、首都には近づいていることには間違いないが、本来ならばもっと早くここまで来ているがロムニルの行動でかなり遅くなっている。


「まあ、とりあえず街についたはいいが……」

「なんすかね。今は街を通って向こうに進むことができない、みたいっすね」

「……封鎖されているらしいね。どういうことだろう? あちらに進まなければ首都には行けないんだが」


 そんな彼らの旅路であるが、彼らが訪れた街は首都に通じる道のある街だが、その街にて首都に通じる方面の道が封鎖されていた。それ以外のルートもないわけではないが、最短ルートがわかっている、見えているのに他のルートを使い遠回りに進むというのはどうなのか。そう思うところだ。


「封鎖って、穏やかでないと思うけど……何かあったのかしら?」

「キイ様、どうするの?」

「……とりあえずまずは情報収集かな。どちらにしても行くつもりだった道が封鎖されているのであればその封鎖が解けるまで待つか、それとも回り道をするか、あるいは別の方向に別の目的で進むか、どうするかを決めるのにはいろいろな材料が必要になる。そもそもこの旅自体別に急ぎというわけでもないし、今はこの街にしばらく滞在しよう」


 公也たちは別に首都に急いで向かわなければならない用事があるわけではない。単純にロムニルが提案してきたためそうしているというだけで、特別何か用事があるわけではなかった。そのためこういった途中の街で待つことになっても別に構わないし、行けないのならば行けないで別の方向に進んでもいい。ただ、急ぎというわけでもないため情報収集のための滞在や、冒険者としての仕事を行うもよし、ロムニル達も場所の問題は有れども研究を行っても構わないというわけである。それなりに大きな街ということもあり、旅の途中で消耗してきた様々な物の補充もできる。今まででも中途の町や村で補充はしてきたが、それでも必要な物がない所もある。規模が大きな場所でなければない、売ってない、取り扱っていないというものは珍しくもないし、村なんかではあまり旅人向けの販売を行わないところもある。一応必要なものはちゃんと用意しているし、場合によっては魔物や獣から素材を得て加工して使うのもありだが、やはり購入して済ませられるならばそちらで購入したほうが楽だ。


「久々に冒険者として仕事がしたいっす。そろそろランクを上げたいっすよ」

「僕らも研究はここのところご無沙汰だったし、少しいろいろと手を付けたいね」

「旅の途中に話したことの検証、実証をとりたいところはあるわ。流石に住む所を借りるわけにもいかないからあまり複雑な物や危険なものはできないけど」

「キイ様がしたいようにしてくださいな。でも、ちょっとキイ様と二人で出歩きたいかなーって」

「……まあ、各自やりたいこともあるようだし、情報収集と旅に必要な物の確保、冒険者として仕事をしたりしつつお金稼ぎをしながら過ごすとしようか」


 色々とロムニルやリーリェ、フーマルにヴィローサとそれぞれやりたいことはあるようである。まあ、それぞれの性質に合った物事になるが、ここまで旅をして来る中で彼らの欲求、目的、やりたい事への挑戦は押さえつけられていたわけである。

 フーマルの冒険者業もロムニル達が仲間に入ったせいでなかなかやりづらいところもある。依頼は受けていないが魔物の素材を持ち込んだりもするが、やはり依頼の評価がランクへの影響が大きい。

 ロムニル達も話し合い以上の研究はできていない。もはや研究というよりは考察、意見の出し合いでしかないわけだが、それで得た様々な発想を試して実際にどうなのか調べたい、というのが彼らの意見。まあ、街中ではどうにも彼らの研究もそこまで活発にはできないので、あくまでこういった街で確かめられる簡単な物に手を付けるくらいとなるが。

 ヴィローサと公也はそれほどやりたい事、というのはない。公也は知識を得る機会さえあればそれでよく、経験を積むという意味合いでは冒険者として様々な仕事をするのはありだが移動する過程でそれを無理にしたいとは思わない。もちろん経験できれば都合がいいが、そういった小さなちまちましたものではなく、大きなより広い物事に関われる方がいい。なのでこれまで旅の途中仕事に触れるようなことはしなかった。ヴィローサの場合は公也といられればそれで満足である。なのでそれほど欲求はないが……二人きり、という公也との行動機会が欲しいと言ったところであるらしい。

 と、各自それぞれが欲求をぶちまけ、やりたいことがあるのならば今のうちにやっておこう、ということで宿をとったうえで各自それぞれのしたいことをやることになった。ちなみに部屋は三部屋、公也とヴィローサ、フーマルとフズ、ロムニルとリーリェの三組である。ここまでフズはやはりろくに出番がない。一応昼間の見張りで活躍したりはしているが、そういった出番は地味でそもそもそういった機会が見られることはなく、出番はカットされている。不憫な。






 と、そんなふうに彼らは街での滞在中に色々とやっていた。そんな中フーマル、リーリェ、公也の三人は仕事や研究など己のやりたいことに手を付けつつ、様々な形で情報収集を行う。公也の場合は主体的に話の盗み聞き、ヴィローサを通じての盗み見が主体である。フーマルの場合は冒険者の仲間への聞き込みが主体である。リーリェの場合、結婚してロムニルの妻であるためか、住んでいる場所ではないが井戸端会議など主婦の話に参加したり、買い物の際に店員からいろいろ聞いたりと街の一般的なネットワークが主体である。

 そんな感じで足りていない部分はあるが、三者はそれぞれの形で情報取集した。そして彼らはこの街から首都への道が封鎖されている原因を調べ上げた。その原因は魔物、それも悪霊の群体という中々みられる機会のない、強力なアンデッドの出現であるということである。現在それに対しての動きが見られているが、まだ対処はされておらず。封鎖がいつ解けて首都へと向かえるのかがわからない現状であった。



※五人もいてまともに情報収集できるのが二人。うち一人は冒険者ではない。まともでない手段なら魔法なり上空から隠れて近づき盗み聞きなどいろいろと手段はあるらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ