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魔法使いが四人、戦士職が一人。ヴィローサという妖精もいて、六人も戦闘出来る者がいれば魔物の掃討に苦労はしない。
「こんなものかな?」
「まだやるか? 流石にこちらも魔力消費が厳しいぞ?」
「そうね……余裕のある人はいるみたいだけど」
「魔法以外でもできるからな。結構な数を掃討したし、後は俺たちが無理に倒す必要性はないと思うが」
「そうっすね……しかし、凄く働いた気がするっすよ……」
「麻痺させたの、まだ死んでないけど? 放置してたら動けるようになるから早く殺してくれない?」
「ああ、わかってる」
毒殺した場合、素材としてあまり利用できないのでヴィローサは麻痺毒で麻痺させて動きを止めている。それだけでも十分な効果なので問題はない。公也とフーマルが回って殺していく。
「そこまで素材、いるかい?」
「ただ殺すだけだと勿体ないからな。まあ、そのまま土に還したとしても問題はないと思うが……」
「使えるものは集めて再利用するのは悪いことではないな」
「そうね。ま、こういった魔物から魔法薬に使うものはあまりないと思うけど……ないわよね?」
「こいつらからは特に取れないね」
「詳しいな」
「アルディーノは魔法使いの研究者としてはどちらかというと魔物寄りの研究を行っている。だから詳しいんだ」
「魔物寄りか……魔法に何か関係が?」
「魔法の起源、発見の元は魔物なんじゃないかと思っているんだよ。今の多くの生物が持つ特殊能力、その人間を含めた人型種の特殊能力が魔法かともおもうんだけど、そもそもそういった特殊能力は魔物と普通の生物が繁殖した結果なんじゃないだろうか。魔物はこの世界の摂理に反する理不尽、それゆえに様々な特殊な性質や能力を持つ。僕ら普通の生き物はそういう物を持たず……」
「そういう話は帰ってからしてもらえないっすかねえ!? 一仕事終わったんっすから、帰るっすよ!?」
「……そうだな。これ以上ここにいても、研究の時間が減るだけだ」
「魔物を倒したし、後のことは冒険者の方に任せましょうか」
「できれば増殖の要因とか知りたいんだけどね……今まで成果が出てないからあてにはしないよ。じゃ、帰ろうか」
「フーマル、後は処理頼むわね」
「ちょっ!? 全部俺に任せるっすか!?」
「安心しろ、仕事である以上俺もちゃんとやるから」
「あら。キイ様が残るなら私も残ります。もっとも、私にできることなんてないから近くにいるだけになっちゃうけど」
そういうことで、公也とフーマルとヴィローサが残り、倒した魔物の処理を行い素材を回収し、今回の大仕事は終えた。これで増殖した魔物が全部というわけではなく、まだまだ数はいる。しかしそれなりに始末したため、総数はそれなりに減っていることだろう。他の冒険者たちが依頼を受けて倒す分は残っている。まあ、全部倒しきったほうが魔法使いが魔法薬を作る素材を集めるのにいいわけなのだが、冒険者側の事情もある。依頼として出ているし彼らも素材の採集ができないのであれば退治と魔物からの素材でお金を稼ぐしかないので、そちらに獲物がいた方がいい。まあ、それも徐々に数が減って落ち着くことだろう。
「や。アルディーノはここで見るべきものは見たから、ってもう行っちゃったよ」
「……何というか、かなり好き勝手してるな」
「そういえば、あなた何かしゃべり方変わってなかった? もうちょっと威厳ある感じか、固い感じだったでしょ」
地味にロムニルの喋り方が元に戻っている。彼の喋り方はアルディーノに近い喋り方である。しかし、アルディーノがいる場合は何故か少し固めな口調になっていた……かもしれない。
「ああ、あれね。ほら、アルディーノとキャラ被るから。それに……あいつがいるとちょっともう少しまじめにふるまった方がいい気がしてね。キャラ被りするとあいつの方が見てくれがいいから」
ちらり、とリーリェの方を見るロムニル。夫婦であるが妻である女性が別の男に意識を向けるかもしれない、同じ研究者なら関わりが大きく、かっこいい相手なら余計に可能性はある。長寿で長い間若いならば、なおさら余計にありえそうだ……というロムニルの邪推である。まあ、男としては好きな女性相手にそういった心配は常にするものであり、ある意味彼が彼女と夫婦でいられるしっかりとした関係性と言えるのかもしれない。ロムニルは少々研究馬鹿なのでたまにはそういうところを見せたほうがいいだろう。
「別に気にしなくてもいいのにねえ。そういう心配はしなくても問題ないわよ?」
「気にするさ。研究と同じくらい、僕は君のことが好きなんだから」
「そこは研究よりも、と言ってほしいわね……あなたにとっては最高の口説き文句なのかもしれないけど?」
研究と同じ、と言われて普通ならば文句の一つくらいあってもおかしくないだろう。しかし、リーリェはロムニルのことをよく知る人間である。ロムニルが研究を捨て去ることはない。それと同じくらい、ということはつまり絶対に手放すつもりがないという意味合いであり、愛情を向けるものとしては最大のものだろう。
「……いいなあ」
そんな二人を見てヴィローサは小さくつぶやく。二人の関係性は独特ながらも、しっかりとした愛が結ばれている関係性だ。それはヴィローサにとって、望ましい形と言ってもいいくらいの関係性。自分も想い人とこんな風にやり取りできるようないい間柄になれば……と思うのだが、ヴィローサの場合は相手が公也なので色々な意味で難しいだろう。ヴィローサ自身そこまでの関係は求めていないし、傍にずっと居れるのならばそれだけでいいくらい、それ以上を求めても仕方ないとも思っている。
「ところで、今日は何について話すかい?」
「いや……実は図書館の方に行こうと思ってる。ただ、先日の件で色々あったからその話も含めてここでしてから図書館に行くつもりだ」
「図書館ね。あそこはあまり蔵書がないのよねえ……必要な分は大体読み込んじゃったわ」
「同じく。あまり本がないから専門分野だけを求めるとね。まあ、悪い場所じゃない。必要な情報を得る分には浅くなら十分問題ない……ま、深いことを知りたいのならやっぱりもっと大きな図書館のある所に行かないといけないけど」
「……もっと大きな図書館か」
「興味あるかな?」
「ああ。でも、今すぐ行く必要性はないと思ってる。とりあえず、仕事……冒険者ギルドで受けた依頼を含めた魔物の事後処理に関してだ。っていうかアルディーノはいないんだが、あいつの分はいいのか?」
「彼なら気にしないでしょ。魔物に関して自分が知りたいことを知れればそれでいい、って感じだろうし」
「そもそも魔法研究に携わる僕らに関わってくるのがおかしいんだけどね……まあ彼としても変な魔法使いより付き合いやすいんだろう。研究馬鹿ってよく僕のことをういうけど、彼もまた研究馬鹿だからね」
「そうか……」
そういうことで公也は依頼に関しての話、事後処理や報酬に関しての話を進める。もっとも、誘ったアルディーノはいないしロムニルとリーリェは報酬自体には興味ない、途中で使った魔法の検証の方が価値としては大きい。ゆえに人数割りで配分することになった。公也たちとしてはありがたいことではあるが……まあ、公也たちもそれほどお金を使わないのであまり報酬に関して気にしても仕方なかったりするのだが。
※魔法は特殊能力の一種という考え。ただそれだと主人公は二つ以上の特殊能力を持つことになるしあまりにも人間に特殊能力持ちが多い、また人間に限らず魔法という特殊能力を持てる種もいることから少々考えづらいことでもある。もっとも特殊能力は一種族に一つ、他種族が他の種と同じ特殊能力を持たないというルールがあるわけではない。
※口調変化の理由付け。キャラ被りすると比較としてアルディーノの方が上になるから。NONTR。




